第10話

しっかりしなくちゃ。


昴に気持ちを悟られるワケにはいかない。


そう自身に喝を入れて、みんなに続いてパソコン部屋を出る。


生徒会室では、すでに問題児たちが開かずの扉に手をかけていた。


扉が開いた瞬間に中を直視する勇気はなくて、少し離れた位置でそれを見守る。


どこか緊張した空気が漂う中。


ガチャっと、綾の手によって静かに扉が開かれた。




「ちょ、おいおいおい」



「なんだよ~、コレ」



「そりゃ開かずの扉にもなるよねー」




苦笑する問題児たち。


そのリアクションはどういう意味なんだろうか。




「瞳ちゃん、怖くともなんともないから大丈夫だよー」




ちょいちょいと優斗に手招きされて、おずおずと開かれた扉に近付く。


ひょいっと、中を覗き込んでみれば。




「………壁、に見えるんだけど」




ぽつりと呟けば、「壁だねぇ」という奏のゆるやかな声が耳に届く。


優斗の言う通りだ。


そりゃあ開かずの扉にもなる。




「なんのための扉なの、コレ」




開けた瞬間目の前に飛び込んでくるのは壁。


本当にただ壁に扉を立て付けてあるだけで、部屋なんてものは無い。


開けたらすぐ行き止まり。


何コレ、ただのフェイクじゃないか。

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