第6話

てゆうか、この年齢で高い高いって…。


とんだ羞恥プレイじゃないか。


怪訝な顔付きで綾を見据えれば、彼は意地悪く笑う。




「他の選択肢なんてねーよ。このまま普通に離したら、お前ルート探ししねぇじゃねーか」




バレてる、と思ってついっと視線を逸らす。


だって面倒じゃないの。


見つけたら見つけたで、後々面倒なことになりそうじゃないの。


僅かに唇を尖らせて、なんとか逃れる術はないかと思案する。


そんな私の思考を嘲笑するように、くつりと喉を鳴らした綾は。




「オッケ、高い高いな」




もう私の答えなんて待つ気は無いようで、ぐっと手に力を入れる。


それを感じ取って、私は慌てて口を開いた。




「待…っ!探す!探すから!」




高い高いだけは絶対嫌だ!


じたじたともがく私から、やっと手を離してくれる。


ふぅ、と安堵の息を吐いた私を見て。




「最初から素直に参加してりゃーいいんだよ」




横柄な態度で、笑いながらそう吐き捨てた。


強制参加決定。




「…昴、」




白いソファーに座ったままの昴に声をかける。




「昴も一緒に探してくれる?」




せめてストッパーになる人が一緒にいてほしい。


冷静な判断を下せる人も参加してほしい。


切実に懇願すれば、彼は苦笑混じりに「わかった」と了承してくれた。

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