第3話

じっと、みんなの視線が陽平に集中する中。


話題の中心である彼は、いつもの調子でにっこりと爽やかぶった笑みを浮かべた。


胡散臭くてしかたない。




「昴は陽平が使ってるルート知ってるの?」




隣に座る昴に質問を投げかける。


まぁ昴は学校で住んでるくらいだし、私たちの知らないこととかも沢山知っていそうだ。


そう思って聞いたのに。




「いや?知らないな」




まさかの!


まさかの昴まで知らないパターン…っ!




「え、嘘、ほんとに?」



「陽平が使ってるルートは知らねぇ」




『陽平が』ってことは、それ以外のルートは知ってるってことだろうか…。


誰よ、こんな構造にしたの。


…って、ああ、理事長か。




「つーことは、探してみるしかねーな」




悪戯を思いついた子どものような表情で、綾がそんなことを言う。




「え、探すって陽平の裏ルートを?」



「ったりめーだろ、他に何があんだよ」




いや、うん。


会話の流れからしてそうだろうけど。




「陽平に聞けばいいんじゃないの」




わざわざ探さなくても、それが1番手っ取り早いんじゃないの?

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