第2話

生徒会室のテーブルの上に置かれているのは、奏がみんなに淹れてくれたコーヒー。


そして。




「つーか、なんでこんな大量に紅芋タルトばっか買ったんだよ」




山積みになっている紅芋タルトの箱。


幾つ目になるのか分からないタルトを指で摘みながら、綾が溜め息交じりに苦言を漏らした。




「仕方ないでしょー。てゆうかリョー君も買ったじゃんー」



「お前らまで買うと思ってなかったんだよ!」




修学旅行で沖縄に行った時、みんな思い思いにお土産を買ったのだけど。


確認もせずに買ったせいで、大量の紅芋タルトを6人で消費するはめに。




「美味いんだけどな~」



「さすがにこの量はキツいよね」




奏と陽平は苦笑気味。


確かに美味しいんだけどね。


陽乃工業のセナたちやニナとユカリにも渡したりしたけど、結局こうして自分たちの手元に沢山残ってしまった。


陽平の言うとおり、この量はちょっと苦しい。


そもそも陽平は甘いもの好きじゃないし、余計に苦しそうだ。


しかも全員紅芋タルトしか買ってないっていう謎。


ちんすこうとかサーターアンダギーとか、選択肢はいっぱいあったのに。


ずっと一緒にいたら、考えることも似てくるんだろうか。




「あ、そうだ忘れてたー」




言いながら、ごそごそとブレザーのポケットを漁る優斗。


ひょこりとちょんまげを揺らしながら、彼は笑顔で私に何かを差し出した。




「はい、瞳ちゃんどうぞー」



「?これなぁに?」



「写真だよー。瞳ちゃん海に入れなかったでしょー?水中カメラで撮った写真、見せる約束してたじゃんー」

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