第27話

こんなだったら真面目に授業に出てる方が全然いい。


しかし参加してしまったのだから、途中棄権が認められるはずもなく。




「はい瞳ちゃん、現実に戻って来てね」




有無を言わせぬ進行役の声。


いやだ、私は現実に戻りたくないの。なんて言えるワケもなく。




「………」




渋々、ゆっくりと目を開ける。


それと同時にふっと頭から離れる昴の手。


あぁ、あのままだったらきっと眠れたのに。


目を開けた先には、やっぱり爽やかに微笑んでいる陽平の姿。


…なんだかあの笑顔がトラウマになりそうだ。




「次の質問は『綾君は前にカレー味のグミを買おうとしてましたけど、どんな味のグミでも食べられるんですか?』っていう内容なんだけどね」




……早くも雲行きが怪しい質問だ。


確かに綾の味覚はどのくらいなのか気になるけど。


てゆうか『疲れてるみんなにピッタリ』って、何がピッタリなんだ。




「これは実践した方が早いから、色んな種類のグミを作ってもらいました」




またどこからともなく、脚にコマのついたテーブルをがらがらと出してくる陽平。


白いテーブルクロスが引かれたそのテーブルの上には、数種類のグミ。


見た目は普通のグミに見える、けど。




「……陽平」



「ん?なに?」



「何味を用意したの、コレ」




くっと眉間に皺を寄せる私を見て、無駄に蠱惑的な表情を見せた彼は。




「秘密」




たった一言で私の質問をぶった切った。

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