第7話

「実は、」




ひゅううぅ、と悲鳴でも上げるように風が吹き抜ける。


次の言葉をドキドキしながら待っていると。




「みんなに質問に答えて欲しいんだよね」




言いながら、どこからか取り出された黒いボックス。


どうしようもなく禍々しく見えてしまうのは何故だ。




「質問って…、何かあったの?」




例えば…なんていうか、何かあったから事情聴取的な。


大きな問題でもあったのかと思い、そう尋ねれば。




「それは質問内容を聞いて貰えれば分かると思うよ」




なんだなんだ。


ほんとに何があったと言うのか。


そしてそこはかとなく漂う胡散臭さ。




「……帰りたい」




ぽつりと呟いてみるけれど、微かな声がこの広い空間で誰かに届くワケもなく。




「さて、じゃあ始めようか」




そんな言葉一つを口にしただけで、脈絡も無くボックスに手を突っ込んでごそごそと中を漁る陽平。


怖い。


何が怖いかってあのボックスを持ってるのが陽平だという事実が怖い。


昴が持ってたらまだ安心出来るのに。


そもそも何に対しての質問かさえ教えて貰えないことが怖い。




「じゃあまず一枚目」




ふっと、ボックスから折り畳まれた紙を取り出した彼。


途端にメンバー全員に緊張が走る。


私たちを追い詰めたいんだろうかと思ってしまう程、ゆっくりと開かれた紙に書かれていた内容はと言えば。

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