第2話
日光が適度に熱を与えてくれる中、私たち生徒会メンバーは輪になってイスに座っていた。
場所は学校のグラウンドのど真ん中。
シュールというか、どちらかと言えば滑稽だ。
みんなの視線の先には、胡散臭く笑う陽平。
彼の膝の上には、四角いボックスが乗せられている。
「…帰りたい」
思わずぽつりと呟いた声は誰にも届くことは無く、ただ広いグラウンドに溶けるようにして消えた。
「さて、じゃあ始めようか」
にっこり。
爽やかに微笑んでボックスに手を突っ込む陽平。
ごくっと、その他のメンバーが息を呑んだのが分かった。
妙な緊張感が漂う。
もうやだほんとやだ。
なんて言ってもどうせ帰してもらえないから言わないけれど。
ゴソゴソと、ボックスの中を漁る音が静かに響く。
その音にさえ恐怖がせり上がってくるから不思議だ。
きっとあのボックスを持ってるのが昴だったら、ここまでの恐怖を味わう必要は無かったのに。
「じゃあまず一枚目」
ふっと、ボックスの中から小さく折り畳まれた紙を取り出した陽平。
彼がその紙を開く指先の動きにさえ、脅されているような気分になるのは何故だ。
そう感じているのは私だけでは無いらしく、ちらりとみんなの表情を窺えば、なんとも表現し難い曖昧な表情をしていた。
さわりといい風が吹くけれど、それを気持ちいいと思える余裕も無い。
どうしてこんな状況に陥ってしまったのか。
事の始まりは約30分前。
生徒会室の中から始まった。
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