率直に、とても楽しいコメディ短編でした。仕掛けの小ささ(簡易版)と結果の大きさ(天気予報が外れる)がズレとして効いていて、〈……〉で入る冬野のツッコミがテンポ良く読ませます。「…人間は」の書き出しも上手いフックです。
良かったところ
1. ボケの連鎖:鳥居→葉っぱ→第2ボタン→「コックさん」の言い間違い…と誤読・誤解が階段状に積み上がる。
2. 三者の性格が短文で立つ:能天気な飯島/寡黙で脆さのある平近/正義感の強い幽体・冬野。
3. オチの新規性:呪い=予報が外れる、という『被害は大だが地味に迷惑』な落とし方がセンス良い。翌日の「三種のニュース」で余韻をきれいに畳んでいます。
4.〈 〉のツッコミ記号は全編で統一されていて読みやすいです。
誤字かも?
「指を話してはいけない」→「指を離してはいけない」。
天井から眺める霊が飯島と平近が行う簡易版コックリさん(降霊術の一種)にひたすらツッコむコメディです。
二人がやろうとするコックリさんはもはやボケの集結。簡易版と謳って重要工程をはしょってはその場のノリ感覚で推し進めてしまう。
おおぅ、危険極まりない術式よ。
その掛け合いに霊は天井から声を大にしてツッコむのですが、人間の二人にはその姿・声の一切が悲しいほど伝わらない。
そしてボケがボケを呼ぶ盛り上がりを見せる中、鋭いツッコミも冴え渡るも二人には届かずもはや制御不能か。
ツッコむ霊を応援したくなる程もどかしい。哀愁さえ感じられるコメディ小噺。ホラーとコメディとの相性は抜群。それを証明する小噺はここにあります。
もうホラーは苦手なんて言わせない。そんな不思議な魅力あふれる短編です。
鋭い突っ込みに何度も笑ってしまいました。
放課後、2人の男子がコックリさんをやっている。それを天井からから眺めている女の子がいる。2人には女の子は見えない。ん、忍者みたいに天井に張り付いているのか?
2人がやっているのは、簡易版コックリさん。正式なコックリさんとはやり方が色々と違い、その違いが笑えるのだ。そしてそれに対する突っ込みも楽しくて笑える。
2人は禁断の質問をする。果たして答えは⁈
最後にはちゃんとオチが用意されていて、最後の最後まで笑えることを保証します。
たったの2300文字で何度も笑えるコミカルな掌編。え?これ、ジャンルはホラーなの?ってこれ書きながら思ってしまった。これも突っ込みが必要だな!
激しいツッコミの波状攻撃に、全編を通して笑いっぱなしの一作でした。
「簡易版こっくりさん」なるものを実行しようとする、平近と飯島の二人。
そんな二人をひそかに眺める、幽霊の冬野。こっくりさんという危険な儀式に手を出そうとする二人を怖がらせてやろうと、虎視眈々と様子を窺います。
だが、直後に度胆を抜かれることに!
簡易版こっくりさんとは、一体どこを省略するのか。
まずは名前が「コックさん」になりました。
そしてなんと、五十音も省略され、「はい」、「いいえ」、「あいうえお」しかありません。
そんな略し具合にツッコミを入れつつ、どうにか二人を怖がらせようとする冬野。
だが、限界はあった。質問の答え。それ以上に、自分のために用意された「文字」の少なさ。
それでもどうにか進んでしまう事態。ツッコミはもう止まりません。
「ずっと平近たちのターン!」と、翻弄されまくる冬野。その姿が爆笑必至です。それでも妙に「乙女」なところがある平近の姿に、読者も感情を激しく揺さぶられます。
サクッと読めていっぱい笑える、魅力いっぱいの作品です!