魔法使いとアンドロイド
藤原くう
第1話
これから話すことは、むかしむかし……というほど昔じゃないし、ある場所《っていうのはココのことで起きたことなんだ。
でも、たぶんみんな信じてくれないと思う。それくらい、あり得ないことが起きた。
ぼくがゴルディロックという女の子に出会ったのは、今日みたいに星がキラキラ
空を真っ白に
流れ星のように落ちてきた彼女のことを今から話そう。
そのとき、ぼくはゴーレムをつくっていた。
ゴーレムっていうのは使い
る。たぶん、キミのは動かない。ぼくのもまだ動かない。首の後ろに
ぼくがつくっていたゴーレムは、ぼくよりもちょっと大きな女の子。エッチなことを考えてたわけじゃなくて、たまたま女の子のかたちをした
だから、空中に
で、ゴーレムにしようとしてるんだけど……。
「なんでならないのかなあ」
「はあ……」
消したり書いたりするのにも
空には、星が数えきれないほどある。キラキラと楽し気に笑っているみたいで、ぼくみたいに一人でいるやつはいない。
「いいなあ」
ついそんな声を出してしまう。なさけないなあ、なんて思いつつも、そんな
目から水がポロポロあふれてきそうになって、
まさにその
「あれ?」
空に
ぼくは起き上がってその光を
時間が進めば進むほどに、光は大きく強くなっていく。ほかの星を食べているかのように
びゅうと風が吹いた。
……ものすごくイヤな予感がする。
ぼくは、女の子の像を
「ごめん」
今や、空は昼間のように明るくなっていた。いつもなら夜空と
その
ドーン!
視界が回りに回って、
そのまま、ぼくのからだはソファにスポッとぶつかる。ここにソファを置くことにした昔のぼくに
……ううん、違う。暗やみの中でパチパチなにかが
「なんだろ」
ぼくはその火へと近づいてみることにした。その赤ちゃんのような小さな火は、そこに
金色のからだではなく、ダイヤモンドよりもずっと
「ヒト……?」
ぼくは思わず、そう
その女の子は、はじめて
ぼくは
でも、その子は間違いなくヒトだった。
女の子はなんだか変な服を着ていた。全身を黒い布?
「なんでこんなところに」
女の子が
というか、あの
きょろきょろと探していたら、あった。ホッとすると同時に、ゾッとした。
だって、金色の
今できる
「もうどうなってるんだ……」
いきなりやってきた光と、
いろいろなことが起きすぎて、頭がバクハツしちゃいそう。
ぼくはとりあえず冷静になろうと、
さっきまで目を閉じて
ギャッと自分でもびっくりしちゃうような
女の子は、ぼくの
「あの、ここはいったいどこなのでしょうか」
「どこって……」
後ろにたつ黒い
そういうわけで、ぼくはここらへんのことに
「ぼくにもわかんない」
「そうですか。では、何かエネルギーになるものはお持ちではありませんか?」
「えねるぎーってなに?」
はじめて聞いた言葉で、ぼくは逆に質問してみることにした。女の子は目を丸くさせたけれども。
「何かを動かす力のことです。今はエネルギーを生み出すものが欲しいのです」
きゅるるるる、と女の子のおなかから鳴る。
「このままでは、宇宙へ戻ることができません。そうなると、私は仕事ができません。それは困ります」
「うちゅう?」
「空に広がる星の海のことです。ご存じありませんか?」
上を指さす女の子に、ぼくは
でも、それってつまり。
「キミは空から来たの?」
「ええ。宇宙の
「なにしに?」
「探査をするために。私は深宇宙探査アンドロイドですので」
両腕を組んで、エッヘンと女の子が胸を張った。
でも、ぼくには何がなんだかわからない。
しんうちゅうたんさあんどろいど。
その言葉が、右耳から入って左耳へと抜けていく。カエルの歌みたいに
女の子はそんなことはしなかった。
「覚えにくいのでしたらゴルディロック……ゴルディとお呼びください」
原住民族さん、とゴルディが言って手を差し出してきた。
その言葉の意味は分からなかったけれど、ぼくはその手を取った。
キュッと手をにぎれば、ほんのりとした熱が伝わってくる。それがぼくが一人ではないということを教えてくれているみたいで、うれしかった。
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