第5話 そしてヤツは舞い戻る。

 ある日、玄関ドアを開けると赤ん坊がいた。


 箱に入った赤ん坊だ。

 金髪に朱色の目。


 こんな人間が日本にいる訳がない。

 俺はこの配色に見覚えがある。


 そう。

 俺がぶち殺した女勇者だ。


 その証拠に、俺の顔を見るなり、親の仇を見るような形相で睨んでいる。


 ま、親というか自分自身の仇なんだがな。

 そうか。コイツは転生したのか。


 さて、どうしよう。

 放置もできないし。


 俺に復讐するとしても、当面は無理だろ。

 まだ歩けすらしないし。


 赤ん坊は俺を見ていった。


 「ば、ばばぶ!!」


 何言ってるか分からんよ。

 まあ、でも。想像はつく。


 俺への恨み節だろ。

 でも、あれは実は事故なんだよ。


 お前が俺の応接室にきて「絶対防御魔法を覚えたから、実験したい」と、くどかったからだ。


 毎日毎日、そんなどうでもいい用事で来やがって。だから、ある日、自慢の絶対防御魔法に最大攻撃魔法をぶちこんでやった。


 そしなら、跡形も残らなかった。



 ま、腐れ縁だ。暇だし、いじめてやろう。

 俺はお前の将来の姿を知っている。


 だから、残酷にも伝えてやるのだ。


 「勇者よ。お前、将来、絶対に貧乳だぞ。ズバリAカップだ」


 ふふっ。俺はお前が成人した時のバストカップを知っている。Aなのだ。


 赤ん坊はぎゃーと泣き始めた。

 ふふん。


 つか、名前がないと不便だな。

 お前には、俺が特別に名前をつけてやろう。


 シャルロットだ。


 ふふっ。これはかつて俺が支配していたアルドリア王国で、うんこという意味の言葉だ。


 ふふっ。悔しかろう。

 もっと、泣き叫ぶが良い。


 すると、箱の中に手紙が入っていることに気づいた。俺への謝罪文か? どれどれ。


 「おい。ジル。罪滅ぼしに、わたしの面倒を見ろ。ちなみに、わたしは一缶5,000以上の高級ベビーフードしか食べないんでヨロシク(わら」


 とのことだった。

 このクソガキ。ウチの家賃、月20,000円だぞ?


 少しくらいは遠慮してほしい。


 ま、仕方ないか。

 俺はリンを呼んだ。


 「おい。リン。節約のために、こいつにお前のちっぱい吸わせてやってくれ。刺激でお前のチッパイも大きくなるかもしれんぞ? まさしくウィンウィンだな」


 すると、リンに思い切り蹴られた。


 こいつ、主人に態度悪すぎだろ。

 ほんと、どいつもこいつも……。

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る