第6話


健太「ねえあやちゃん、あのりんちゃんって子、何者?」


間違えた。

絶対に間違えた。

何者?ってなんだよ。


あやちゃんは笑い出した。


あやちゃん「何者って笑」

健太「あ、いや…」

あやちゃん「まぁ気になるよね!あれだけ明るくて周りを元気にしてくれる子なかなかいないしね!」

健太「う、うん、なんかちょっとびっくりしたというか、初めて会う種類の人間だなと思って」

あやちゃん「りんは私の姪っ子の同級生なのよ〜」

健太「へー、姪っ子若いんだね〜」

あやちゃん「33歳よ〜」

健太「え!?」

あやちゃん「見えないよね〜」

健太「絶対嘘でしょ」

あやちゃん「まじまじ笑」


誰がどう見てもりんちゃんは20代前半にしか見えなかった。

10代と言われても信じる。

あんな30代がいるのか?

結構な至近距離で見たけどシワやシミひとつ無かったぞ。

店内が暗いからか…?

いや、だとしても若すぎる。


あやちゃんは他の客に呼ばれて行ってしまった。

一度終わったりんちゃんの話をもう一度するのはさすがに気持ち悪い。

それからりんちゃんのことを聞くのはやめた。


スマホでインスタを開き「りん」と検索をかけてみた。

あまりにも「りん」が多すぎて分からなかったので、あやちゃんのページを開き、あやちゃんのフォロー欄から「りん」と検索をかけたら一人だけヒットした。


りんちゃんだ。


りんちゃんのアカウントは鍵垢でもなく投稿を全て見ることができた。

ストーリーも上がっているようだが足跡がつくことを懸念し見るのはやめた。

アカウントを見る限り「ザ・陽キャ」といった感じで、友達との写真しかなく、海での写真やBBQ、スノボ、旅行先などの写真があがっていた。

フォローしている人数は800人、フォロワーは1400人を超えていた。


俺のアカウントはフォローしている人数50人、フォロワーは40人ほどだ。


やっぱり俺とは住む世界が違うな…


あやちゃんにりんちゃんのことをもう一度聞くよりも気持ち悪いことをしていることに気付きインスタを閉じた。


俺はいつもビールを3杯飲み、その後はハイボールを飲む。


酔いが回って来たら焼酎や日本酒を飲む。


あやちゃんやママと何でもない話をしながらドキドキしながらりんちゃんを待った。


カランコロン


新しいお客さんが来る度に目がいくがりんちゃんではない。


りんちゃんが来るのはまだかまだかとソワソワして焼酎片手に待っていた。

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