第29話
“心配してる風”の声。
“普通の家庭ごっこ”をしているだけのような作り物の声。
レンは返事をせず、震える手でスマホを取り出した。
――あの録画を見よう。
自分が家に向かって走っていたあの時間。
あのリビングで何が起きていたのか確認しなければ。
録画再生をタップする。
画面には昼間と変わらない明るいリビングが映し出された。
ソファの上でユキナがましろちゃんを抱き、何やら楽しげに話しかけている。
その手がゆっくりと人形の頭を撫でるとましろちゃんが"笑った"。
「……え?」
録画を一時停止し、巻き戻す。
そして再生。
やはり――笑っている。
口元が動いている。
目尻がわずかに下がり、微笑の形を作っていた。
あの人形は確実に表情を変えていた。
ましろのいる暮らし TOWA @94elxx
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ましろのいる暮らしの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます