第16話 まま

「まま……」


一瞬、足が止まる。



「…………え?」


耳を疑った。

聞き間違いかと思ってもう一度耳をすませる。



「……まま、ずっと……」



はっきりと――

それは子どもの声だった。



低くもなく、高すぎるわけでもない。

幼い、けれど確かな“言葉”を持った声。



それが浴室の中からユキナの声と交互に響いていた。



背筋がぞくっと凍る感覚が首筋から這い上がってくる。


“ましろちゃん”が喋った……?


まさか、そんなはずがない。


だって――あれは人形だ。

ただのモノでしかない。


喋るわけがない。


恐怖心で冷や汗が滲む感覚がした。

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