超能力開発学園都市にようこそ! 落ちこぼれ影使いの世界解放作戦!

@anemono

第1話 その男、落ちこぼれにつき

 東京都千代田区学園都市。超能力、通称、才(さい)の開発のために設立された教育機関の総称だ。

 本日は四月一日、学園都市の入学式が行われる。


「ここが学園都市か」

 白一色の学生服に合わせて作られた白いハットをかぶる青年が、桜吹雪が出迎える新入生の波を眺めていた。


「全員が才能力者で、訓練漬けの毎日を送るっと」

 続いて、桜並木のその向こうに悠然と佇む巨大な城に視線を移す。


「……兄貴はここで占事略决を勝ち取ったんだよなぁ」

 第二次性徴を迎え終わった、子供から大人の中間に位置する低めの声には、憧れの場所に来れたことに対する興奮が混ざっていた。


「彩葉さん、楽しみっすね」

『きゅっ!』

 小さな白毛の狐が、ハットの中から顔をのぞかせ木管楽器のような小さく高い返事を返した。


 彼の名は下村瑠偉(しもむら るい)。

 学園都市にて最低ランク才能力者の烙印を押された、落ちこぼれの新入生だ。

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