第9話 もしかして、性奴隷


「原初の魔法の力、体感するがいいさ」


 メリナの言葉に、リリアーネはレイからの魔法を警戒する。


(原初の魔法……聞いたことがないわ。このレイという男、本当に天才……? いや、そんなはずはない。Sランクが認める程の実力者が、何故いままで表舞台に出ていないなんて、あり得ないわ。何か、高度なブラフを混ぜてきた……?)


 レイは右手を前に掲げる。


(一体何の魔法を…………)


「ぁがッ!」


 リリアーネは思考を始めたその瞬間、情けない声を上げ


「リリアーネ! どうしたのだ!?」


 院長が叫ぶが、リリアーネに反応は無い。


「これで俺の勝ちですか?」


 レイがメリナに尋ねる。


「そうだな。レイの圧勝だ」


「ま、待って下さい! リリアーネに一体何が起こったのですか、メリナ様!」


 メリナは呆れたという様相で答える。


「感じなかったか? レイは魔力を、リリアーネに流し込んだだけ。リリアーネは、突然増えた魔力量に耐えきれずに気絶した。単純な原理だろう?」


「そ、そんなことが、可能なのか……詠唱も何も無い。防ぐのは不可能だ……」


「元来、魔法は詠唱無しで行ってきた。しかし、ここ数十年で何故か魔法に詠唱という概念が生まれた。その所為で、淘汰されてしまったのだ、原初の魔法は。それを、レイは使用できる……《上位回復アークヒール》をかけてやる。起きろ、リリアーネ」


上位回復アークヒール


 リリアーネは目を覚ますが、混乱状態だった。


「ぁ、ああ。ぁぁ…………」


 リリアーネは呻き声を上げ、失禁した。


「嘘だろ……」


「ああ、リリアーネ……。メ、メリナ様やり過ぎです! 将来有望な学生に、このような恐怖を植え付けてしまってはなりません!」


「横領は?」


「な……」


「横領は良いのか? 私が学院の運営を援助出来ればと思い、資産の大半を寄付しているんだが、どうやらそのほとんどがお前の懐に行っているようなんだが……」


「……」


「どいつもこいつも。これが世界最高峰? 笑えない冗談だ……さあリリアーネ、約束は守ってもらうぞ」


隷属スレイブ


 メリナが唱えた魔法により、リリアーネの首に、金属の首輪が生み出された。


「有用な魔法なんだが、使える者は少ないみたいだな。さあレイ、リリアーネは今日から君の奴隷だ。なんでも好きに使うといい。顔は良いようだし、性処理にでも使ったらどうだ?」


 レイは苦笑いで応える。


「は、はは……」


(メリナさんって、実は物凄い悪役……?)


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