非常によくまとまっており、読了後の満足感が高く、また物語のその後についての考察の余地も残された、実に完成度の高い作品です。
現代知識をベースに、魔法を使ってお菓子作り……と、これだけであればチープなテンプレ的無双ものになりそうなものですが、肝心の魔法の使い手がどうにもへっぽこ。
また、頼みの綱である現代知識も完璧に理屈を知っているわけでなく、ちょっと穴があることもあり、「魔法のお菓子作り」は難航……。
おまけにお邪魔虫まで余計な茶々を入れてくる始末……。
いいですね、ちっともスマートじゃない。
こういうトライアンドエラーの過程をじっくり描いた作品は、実に楽しいものです。
また、スマートではないといったものの、テンポが悪くなるようなグダグダはなく、するする読める。
話の運びがとてもきれいで、無駄なく良くまとまっているという証左でしょう。
そして、最後は努力と友情で勝利を掴むという、まさに約束された王道のパターンが実に快い!
全体的に肯定的な雰囲気が漂う本作ですが、この達成感によるカタルシスはただの優しさにとどまらない、しっかりと地に足着いたものが感じられます。
大変満足感の得られる作品で、一気読みすることができる良作でした。
肯定的な物語をお求めの方には、強くお勧めできる作品です。