暇本、学園ミステリー3冊目

三冊目。

今回は電車で書いてます。

車や新幹線では酔うけど、鈍行では酔わないの、不思議なん。


KADOKAWAの学園ミステリーコンテストに出すなら、

直近で話題になったこれを読んでおかないといけない。

青崎有吾『地雷グリコ』


来たね。

出てすぐ買ってたけど、なぜか積んで、

期待で城を立てて、なお読んでなかった一冊。

寝かせすぎて、期待する気持ちが変な匂いを放っているかもしれん。


以下、ゲームの内容に触れるので、ネタバレ注意です。

あまり内容には触れないつもり。


オリジナルゲームでの、頭脳戦。

ミステリーのジャンルを広げる、こういうのもありか〜


おもしろ、

恐怖の、

波状攻撃

これをコンテストに求めている輩がいた場合、太刀打ち不可能


一時期流行ったデスゲーム系の推理戦とはまた違って、鼻を明かされ

たぶん、「ライアーゲーム」とかが一番近いかも。

こういうのもミステリーなんだっ、という素直な「へ〜」が最初にきて、

ゲームをみて、「なるほどね〜」となって、

「すごいね」です。


オリジナルのゲームの作り方がさすが過ぎる

ボードゲームとか、TRPGとか、そういうものに触れてたら、

こういう発想も出てくるのかな、と思ったり。


いくつかすごくいいなと思ったところ

①元になったゲームのルールを読者と共有できる

(グリコ、神経衰弱、じゃんけん、だるまさんがころんだ)

ポーカーは除く、4つを知らない人そういないのではないか。

入りやすさ、親しみやすさ。

ミステリー好きにだけヒットした作品じゃないところが、話題になった理由のひとつだと思われ。


一応、書店バイトマン(田舎だけど)の経験から、

マニアックなのは基本手に取られにくい。

一部にしか売れない本は置きにくい。

内容が重たいものも最近は売れにくい。

ほとんどの土地は、東京や大阪ではない。(東京や大阪など、都心部での売れ行きとは話が違う)

大体の人はミステリーファンじゃない。でも、読むのはミステリーファン。


地雷グリコは、手に取りにくさが上手く取り除かれていると思った。

ミステリーは状況を読者が想像するのが難しすぎて読み飛ばしてしまう、からまんまり、のひとも一定数いるとおもう。

実際、フォールーム・ポーカーが込み入りすぎて読み飛ばした、という感想も聞いた。


今回のコンテストのテーマにはっきり『学園』と銘打たれているから、流行り以外にも、手に取りやすさと読みやすさは意識していると思う。

絶対にライト層向けになるのは間違いないし。

それに、重たすぎる、シリアスな展開も実は避けたいのかもしれない。

ホラーとジャンル分けされているから、次々人が死ぬ殺人事件、みたいなにもコンテストの趣旨とズレているのかもしれない。

あくまでかもしれないの話。

そう考える編集のひとがいてもおかしくないよね、という話。


これは作品の良さとはまったく関係ない話で。余談。


②学園の舞台とマッチしてるよね

ポーカーを除く。

大掛かり過ぎないし、ほぼ体一つあればできる。

その手軽さが学生っぽい。ちゃんと元ゲームの子どもの遊戯の延長にあるのが感じられた。


③ちょい足しの原則

戦い方は置いといて、ゲーム自体はちょい足し。

元ゲーム+ワンで作られている。これって、こどもの頃に遊んだのと同じじゃない?

おにごっこ→かげふみおに、影踏んだら鬼交代、的な。

突飛なことをやっているわけじゃないのに、そこから推理でゲーム性が深くなってる。


一口に頭脳戦といっても、本当にいろいろ存在するんだな。

盤外戦術、ルールの穴をつく、が常套手段。

ルールに明記されていないか、範囲はどこまでを設定しているか、この辺が本当に重要だった気がする。

数学の文章題をきちんと読みましょうみたいなもん?


そして、地雷グリコも連作短編。

雑誌で発表してからのまとめて一冊の本で出版って形だから、

連作短編自体多くなるのかも。読みやすいし。


ストーリーより、ゲーム!勝負!って感じだった。

それでも、それぞれのキャラの性格がはっきりわかりやす。

ヴィジュアルも理解しやすい。

このへんはライトノベルのキャラ付けと通じて、見習いたいところ。


ゲーム性。

新しい要素がでてきた。


ゲーム性があると、登場人物の推理のそれぞれに躍動感(動き)がでるように思った。

どんでん返し的なこと、先読み(理にかなった)、伴った感情の動きが大きく感じられた。

な、なンだって?!

と自然に入れた。地雷グリコでは視点の書き分けで両プレイヤーの推理を覗けたからさらに。


地雷グリコは

・親しみやすさ

・ゲーム性

がとってもよく味が出てた。


学園ミステリーなら特に、

ミステリーを書くんだ!って四角になる必要なさそう。

自由で柔軟?

それがいっちゃんむずかしいから。


基本、頭が固くて重いので、

それを助けるためにテスト対策もとい、コンテスト用に勉強してみてるわけで。

作品が面白くなかったら意味ないんですけど。


すごい発想、みたいなのはポンポン出てくる訳ないし、

天才じゃないので、

ここで大事なのは、

【ちょい足しの原則】


既存のもの、一般にも親しみやすいもの、学園と親和性のあるもの、

にプラスアルファ

を頭の片隅に置きつつ。


好きなものを書いてもいい。

ただ、貫ける槍をね、持ってないのね。

竹槍、募集中。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る