寝ぼけ天使と十九の夢

@suzusiamenotsuki

忘れじの言の葉

十九才の青年は近所のコンビニで見かけた淡い翠のスカートを穿いた同級生と二人にとって懐かしい公園で少し語り合ったりして遊んでいた。すると四才ぐらいの女の子が二人のもとへやってきて長く黒い髪の彼女に何か可愛らしい真剣さで語りだした。優しい眼差しの彼女がお相手をしていて暖かい日差しに包まれる小さな幸福感があった。


しばらくすると小さな女の子は我がままを言いだしたみたいで、同級生の彼女は「私の代わりにお話をしてあげて」と言って、腰かけていたベンチから立ち上がって

優しい花の香りを残して何処かに姿を隠してしまった。


眩しくも可憐な少女のあどけなさとは真逆な小さな幸福感に反するような月夜から落ちてきた影が張りつくような怪訝な不安が彼の脳裏にあった。それでも割り切って透明な花瓶を割るような気持ちで可憐な少女のお相手を頑張ってやってみた。


最初は楽しそうな笑顔があったその少女だったけれど、しばらくすると飴玉を貰っておきながら「不味い」と両眼をくるりと回すような顔をしてテントウムシを発見したかのようにそっぽを向いてから掛けっこ一等賞を目指して十九才の青年から離れていった。


綿菓子のような春一番が過ぎ去った安堵感とお気に入りの古い切手を無くしてしまった焦燥感で彼は音を遮るような集中力でゆっくりと一回転した。穏やかな微笑みは時空を越えたように姿はなく四才ぐらいの少女を探してみると彼女は彼女の母親に何かを訴えながら十九才を指差して泣きじゃくっていた。


十九才はスマホの充電がゼロになってしまったような諦めで少し天を仰ぐように顔を上にやって、困惑しながら少々と苛立ちの眼差しを向ける寝ぼけ天使の母親に純度の高い忖度するようにその場で会釈をしてから寝ぼけ天使のもとへ歩み寄った。


そして、さらに寝ぼけ天使はギャン泣きをしながら「イヤ、イヤ、イヤ、イヤ、嫌だああああぁ」と叫んで十九才と母親を困らせた。その一方で母親の左どなりでは可愛らしく鼻をほじっている悪魔の弟がいた。


そして大波の如き深い愛情が呑み込むような勢いで十九才は何故なのか叱られて十九の小さな恋心は彷徨いながら未だ乗車したことのない列車を求めて歩きだした。

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