Ep46:桜の木の謎
星見小学校の放課後、星見キッズは、新たな体制で活動を続けていた。星見探偵団が上履き事件を解決したことを知り、互いにライバル意識を高めていたが、今はそれぞれの道を歩む準備をしていた。
その日、6年1組の担任がシュウを呼び出し、1通の手紙を手渡した
。封筒には「星見キッズへ」と手書きで書かれ、中にはタイプライターで打たれた不気味なメッセージが収められていた。
シュウが手紙を開き、読み上げた。
「校庭に咲く桜の木の謎を解け。解けないのなら貴様の大事なヤツを消す」
タクミがシュウの手を握り、目を丸くした。
「シュウ、これって脅し文書だね! 大事なヤツって僕のこと?」
シュウがタクミの手を握り返し、眉を寄せた。
「タクミ、そうかもしれない。誰かが僕たちを狙ってるんだ」
リントがメガネを押し上げ、冷静に言った。
「シュウ、このタイプライターの文字は機械的だ。個人で所有するのは稀だ。計画的な犯行だ」
ハルが拳を握り、目を輝かせた。
「シュウ、桜の木の謎って校庭のあの木だろ? 何か隠れてるかも」
ユウキが腕を組み、補足した。
「シュウ、脅迫文は本気かもしれない。父が言ってたが、こういう手紙は実行に移す場合もある」
シュウがノートを取り出し、チームに指示を出した。
「みんな、焦らずに校庭の桜の木を調べよう。毎日少しずつヒントを探す。タクミ、君は僕と一緒に来て」
タクミがシュウに寄りかかり、頷いた。
「シュウ、了解だよ。君と一緒なら怖くない」
星見キッズは校庭へ向かい、校庭の真ん中にポツンとそびえ立つ桜の木の周囲を調査し始めた。この木は毎年美しい花を咲かせ、生徒たちに愛されていたが、今はそんなことも知る由もない。木の下には大量の爆弾が張り巡らされているが、それはまだ誰も気づいていない。
シュウが木の幹を叩き、首を振った。
「タクミ、幹に傷はあるけど、何も分からないな」
タクミがシュウの隣で地面を見た。
「シュウ、土も普通だよ。掘った跡もないみたい」
シュウが木の根元を軽く蹴り、ため息をついた。
「タクミ、この木、見た目は普通だ。ヒントが見つからない」
タクミがシュウの手を握り、首を振った。
「シュウ、僕も分からない。木を見てても何も浮かばない」
リント、ハル、ユウキは黙って木の周りを歩き回り、時折地面を軽く触ったり幹を叩いたりしたが、特に異変は見つからなかった。3人はシュウとタクミの後ろで静かに作業を続け、会話はほとんどなかった。
シュウがチームを見回し、結論を出した。
「みんな、今日は何も見つからないな。明日も続けてみよう。とりあえず帰るか」
タクミがシュウに寄りかかり、頷いた。
「シュウ、うん。明日また一緒に調べよう」
リントがメガネを直し、静かに頷いた。
ハルが拳を握り、小声で呟いた。
「シュウ、次は何か見つかるといいな」
ユウキが腕を組み、短く言った。
「シュウ、気をつけて進めよう」
その日の調査は全く成果を上げられず、星見キッズは手詰まりのまま帰宅した。
その夜、シュウは自宅でノートを見直していた。
桜の木の謎と、手紙の脅迫が頭を離れなかった。爆弾の存在はまだ知らないが、不安が募っていた。
ふと、タクミの笑顔や温もりが思い出され、シュウの体が反応し始めた。心臓が速く鼓動し、下腹部に熱がこもるのを感じた。シュウはベッドに横になり、タクミのことを考えるのを抑えきれなかった。
「タクミ…。君の声、笑顔…。僕、君のこと考えると…」
シュウの手が無意識に下に伸び、抑えきれぬ衝動に身を任せそうになった。タクミとの絆を思い出しながら、シュウは目を閉じ、深い息をついた。
「タクミを守るため、この謎を解く。1年かけても…」
シュウは窓の外を見つめ、長期戦の覚悟を新たにした。桜の花びらが舞う中、星見キッズの新たな試練が続いていた。
(Ep46話 完)
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