Ep18:爆弾の影(搜索の始まり)


~緊迫する夕暮れ~



10月下旬の夕方、星見小学校の文化祭が終わろうとしていた。5年1組の教室で片付けを終えた星見キッズは、楽しい一日を振り返りながらホッと一息ついていた。




しかし、シュウのカバンから見つかった


「校内に爆弾を設置した。午後5時に爆発する。星見キッズ、探してみな。――名無しの挑戦者」と書かれた犯行文が、状況を一変させた。




時計はすでに4時47分を指しており、残り時間はわずか13分しかなかった。


校内放送で緊急事態が伝えられ、生徒と保護者たちはホールに集められた。




警察の佐藤刑事が到着し、シュウたちに状況を確認した。


「君たちが見つけた手紙だな。爆発まで時間が少ない。危険だが、協力してほしい。爆発物処理班を呼ぶが、校内を調べてくれ」




「分かりました。星見キッズで手がかりを探します!」シュウが決意を込めて答えた。




「班に分かれなさい。危険を感じたらすぐに戻るんだ」佐藤刑事が厳しく指示した。




星見キッズは迅速に行動を開始した。


シュウとカナエが1階を、ケンタとリナが2階を、タクミが技術室でカメラ映像を確認する役割に分かれた。




時計は4時50分を過ぎ、緊迫感が高まっていた。夕陽が校舎の窓を赤く染め、静まり返った校内に緊張が漂った。






~1階の捜索~



シュウとカナエは1階の教室や廊下を急いで調べ始めた。文化祭の装飾が残る廊下で、靴音が響いた。




シュウが懐中電灯で隅々を照らしながら言った。


「爆弾は目立たない場所に隠されてるはず。カナエ、机の下や棚を見て」




「うん、シュウ! 気をつけて…」カナエが震えながら机の下を覗いた。




3年2組の教室に入ると、窓際に置かれた花瓶の下に小さな紙切れが落ちているのに気づいた。




シュウが拾い上げると、「爆弾は学校の心臓に」と殴り書きされていた。




「学校の心臓…? 図書室か? 校長室か?」




「シュウ、これってヒントだよね? 時間がないよ!」カナエが焦った声で言った。




「うん、図書室に行こう。学校の中心に近いし、静かだから隠しやすい」シュウがノートにメモし、急いで移動した。






~2階の捜索~



一方、ケンタとリナは2階の科学室や音楽室を調べていた。




ケンタが机を動かしながら言った。


「リナ、どこかに線とか怪しいものないか?」




「うん、探すよ…。あ、音楽室のピアノの下に何かある!」リナがスケッチブックを置いて近づいた。




ピアノの下から、細いコードが伸びているのが見えた。


リナが恐る恐る触れようとすると、


「危ない! 触らないで! 写真だけ撮って」とケンタがリナを引っ張り、スマホで撮影した。コードは壁の裏に繋がっていた。




「ケンタ、時間がない。シュウに連絡しよう」リナが急いで電話をかけた。シュウが電話に出ると、リナが報告した。


「シュウ、音楽室のピアノの下にコードがあった! 爆弾の線かもしれない」




「分かった、触らないで。僕たちも図書室で手がかりを見つけた。警察に報告するよ」シュウが冷静に答えた。






~技術室の分析~



タクミは技術室でカメラ映像を解析していた。タブレットの画面に、4時40分頃、校舎裏に黒いフードをかぶった人影が現れる映像が映った。




「シュウ、カメラに怪しい人影! 顔は隠れてるけど、背が高くて黒い服だ」




「背が高い…。松本くんみたいだね。違う犯人か?」シュウが電話越しに考え込んだ。




「可能性はある。映像を警察に送るよ。もう5分しかない!」タクミがデータを転送した。






~図書室での発見~



シュウとカナエが図書室に着くと、静寂が支配していた。文化祭の装飾もなく、普段の静かな空間が広がっていた。


シュウが懐中電灯で棚の奥を照らすと、床に小さな黒い箱が置かれていた。コードが箱から伸び、壁のコンセントに繋がっていた。




「これ…爆弾じゃないか!」




「シュウ、どうするの? 怖いよ…」カナエが後ずさった。




「触らないで。警察に知らせよう」シュウが佐藤刑事に電話をかけ、状況を報告した。




佐藤刑事が急いで図書室に駆けつけ、爆発物処理班を呼んだ。


「よく見つけた。コードを切る前に専門家に任せろ。5時まであと2分だ」




処理班が到着し、慎重に箱を調べた。時計が5時を過ぎた瞬間、爆発は起きず、ホッとした空気が広がった。




班員が言った。「偽物だ。タイマーがセットされてたが、爆発物は入ってなかった。脅し目的だろう」






事件の余波と決意



ホールに戻った星見キッズは、疲れ切った表情で座った。




シュウが手紙と紙切れを見ながら言った。


「学校の心臓って図書室を指してた。偽物でも、犯人は僕たちを試したんだ」




「シュウ、背の高い人影…。松本くんに関係ある?」リナがスケッチブックに人影をスケッチしながら尋ねた。




「分からない。松本くんは逮捕されたはずだけど…。別の犯人か、関係者か」シュウが考え込んだ。




「動機が分からないと、安心できないね」カナエが不安そうに言った。




「うん、警察と協力して真相を追う。星見キッズ、次の挑戦だ」シュウがノートを開き、決意を新たにした。




夕陽が校舎を染め、静寂が戻った。爆弾事件は新たな謎を投げかけ、星見キッズの戦いが続くことを予感させた。




(Ep18 完)

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