学は、事業所Mでの仕事を終え、雨音が響く休日を迎えた。時間の流れと、共に、悲しみは、ゆっくりと薄れていく。しかし、前へ進もうとする度に、新たな壁が立ちはだかる。

　PC教室への道を探るも、思うようにはいかず、「もう前に進めない」と、嘆く。　　

　しかし、それでも、学はペンを取り、小説『とある事業所M 』No.3に、向き合う事を選んだ。だが、執筆は、思い通りに進まず、焦燥（しょうそう）を感じながらも、机に向かい、言葉を紡（つむ）いでいく。

　この物語は、自分自身の歩みであり、迷いであり、希望の欠片だ。それは、キラキラしている。窓の外を見ると、雨は次第（しだい）に弱まり、雲の隙間（すきま）から光が漏れ始める。その光は、今の学の心のようだった。

　それでも、光があれば影がある。学の心の奥底には暗い影が残る。「PC教室が、難しい今、私は、何を、目指して進めばいいのか」――その答えはまだ見えない。

　だが、言葉をノートに書き込むことで、形にならない心の揺らぎを整理していく。　

　事業所Mでの出来事、仲間たちとの会話、交錯する喜びと悲しみ。それを、書き出す内に、学は気づく。積み重ねた経験こそが、新たな物語の礎（いしずえ）となるのだと。

　ペン先に力を込め、新たな一歩を踏み出すための言葉がノートに静かに刻まれる。

　当面は、PC教室を断念し、動画編集ソフトを、封印する事に決めた。虎の巻の本が出るまで待つ――そして、今の能力で、働ける所を、探す、お金が貯まったら、PC教室に通う、それが、今、考えられる選択である……。

　そして、それまで、「とある事業所M」を書き続けることで、少しずつ、前に進む力を、育（そだ）てていく……。

　学は、ペンを走らせながら、自分自身の歩みを振り返っていた。形にならない思いが、少しずつ言葉となり、ノートの上に刻まれていく……。その過程は、苦しいが、同時に心を整理し、新たな視点を与えてくれる。

　雨上がりの空には、雲の隙間からわずかな光が差し込んでいた。その光は、学の心の奥深くにも静かに染み渡る。しかし、前に進むための確かな道筋は、まだ見えない。

　「何を目指して歩めばいいのか」――その問いに答えが、出ないまま、学はノートを閉じた。そして、来週、改めて自分自身に向き合うことを決意した。

　書くことで、自分を知る。迷いながらも、一歩ずつ前へ進む。その過程こそが、学に、とっての成長なのかもしれない。

　そして、学は新しい言葉を紡ぎ始めた。

　それは、休日が終わり、学の新しい物語の執筆を、意味していた。どんな、物語が始まるのだろうか？　少し、不安な気持ちもあるけど、きっと、凄く楽しいことが、待っている……。