第5話

その2




その後、気が付くと私は無意識にソファにかけたまま、部屋の中をきょろきょろ見回してた


「飾りっ気のない部屋だろ。めったに人など来ないんでな。こんないい女がお越しで、部屋が驚いてるようだ(薄笑)」


「この部屋、生きものだって言う訳?」


「なにしろ、オレとお前が一緒の空間はどこか違う世界に行っちゃってるんだから、通常の日常とは生きてるって定義も微妙に違う。要は息吹を感じることができりゃあ、それは”ここでは”生き物だ」


いきなり惑わすわね、この人…


でも、そんなもんかもね、私たちの演じてる作品となれば…



***



「…なら、お前の共犯者、布陣は整ったんだな?」


「ええ、お待たせした甲斐がったわ。最強の布陣ってことで、乞うご期待あれよ」


「ハハハ‥、そうか。どうやら、よほどのパートナーを”掘り当てた”ようだな。これは楽しみになってきた。ゾクゾクするぜ」


そう言ったカレは、例の妖しい眼光を放ったわ


ううん…、その輝きはこれまで以上のそれだった


すでにエンジンは静かにフルかも


この男…



***




ひと通り見回した部屋の中で、ひと際私の目に留まったのは、木製の縦に長いリビングチェストの上に並んでいる(飾ってある?)モノ…、だった…


プラス、その付近の壁に張りついているいくつもの写真も


カベの白いクロスが浮き立たせているその写真は、ここから見ても明らかに女性の顔だとわかったわ


しかも外人の…


「ふふふ‥、やはり目に付くよな、アレは…。まあ、おまえのこった。もうあの女達がどんな”類”なのか、何でここに飾られているのか…。大体は察してることだろうが…」


私の目線を悟り、カレがフッてきた


じゃあ、やはりなのね、康友…







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