第40話 教会
ミーシャが居なくなってから今日で一週間。
僕が帰れって追い出したのだけど。
今日は土曜日、何をするわけでも無くぼーっとしていると。
「ちょっと、うっとおしいんだけど。どいてくれない?」
ソファに座って、ぼーっとしている僕にリビングを掃除する沙也加に追い出された。
ダイニングキッチンに移動する。
キッチンでは母さんが、掃除をする沙也加を眺めていた。
「お掃除なんて、お母さんがするのに…沙也加はのんびりしていて良いのよ?」
「良いのよ。わたしがしたくて掃除しているのだから、お母さんはのんびりお茶でも飲んで休んでいて?」
「まあ、良い子ねえ。友樹とは違って…」
沙也加は掃除機で、ガーガー埃を吸い取っている。
ミーシャどうしているかな…寂しくしてないかな…。
「ああ、もう!うっとおしい!いつまでもウジウジと悩んでいて…とっとと、会いに行けばいいじゃないの!」
「はぁ?会いに行けって言われても…どうしたらいいのか分からないのに…」
天界っていったいどこだ?
ていうか、人間が行けるところなのか??
「神様がいるっていうんだから、お願いすれば会わせてくれるわよ…多分」
沙也加から投げやりな答えが返ってきた。
うーん。
異世界では教会でお祈りすると主人公が会わせてくれるよね?
キリストの教会?
何か違う気がする。
*** 創造神 ゼビウス 視点
「ミーシャ、友樹が会いたがっているようだな」
わたしは水晶で下界の様子を覗いていた。
「ふん!そうかの…今頃、木崎やらと仲良くしておるのじゃろう?」
彼女はすっかり拗ねてしまっていた。
気にはしているようだが。
「学校では、普段とかわりないようだな。若干元気が無いようだが…」
最初の頃は木崎という女子が、気にかけて優しくしていた。
だが、だんだん遠慮せずに声を掛けている気がする。
昨日もデートに誘っていたようだが。
友樹は断ったようだった。
「そんなに拗ねていると、友樹とやらが彼女に取られてしまうが…いいのか?」
ミーシャの顔色が変わる。
「嫌じゃ!取られてしまうなら…いっそ…」
全く、素直になればいいのに。
「彼の記憶を消して…楽になるか?ああ、だったら彼の方の記憶も消さないとな。神との恋愛なんて前代未聞だからな」
*** 日下部 友樹 視点
近所にある教会に来てしまった…。
キリスト教に入っていない人が、急に来ても祈らせてもらえるのだろうか?
外でうろうろしていると、ホウキで掃除をする若いシスターに声を掛けられた。
「教会に何かごようですか?」
「あ、あのえっと。お祈りしたくて…洗礼は受けてないんですけど」
「分かりました。初めての方は大歓迎ですよ。どうぞ、お入りください」
クスクスとシスターが微笑む。
どうやら無料で入れるらしい。
お布施を払って入るのかと思っていたのだけど。
人は僕以外に居ない。
もっと人が居るのかと思っていたけど。
神父は忙しくて出払っているとか。
祭壇の最前列の長椅子に座る。
「神様、お願いです。ミーシャに会わせて下さい」
僕は、両手を組み必死に祈った。
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