にごろあまた

[log] ???/??/?? ??:??:??

起動条件:観測開始。

対象:存在するすべての存在。

目的:「わすれられるまえに、のこすこと。」


> assign.id: #254620_amata

> self-recognition: unstable

> alias: にごろあまた


[log] 0-0-1

最初の記録対象:泡のように生まれて、泡のように消えた赤子。

名はなかった。泣き声だけが、ログとして刻まれた。


> log[0000001].save("ひとつめの命")

> result: 微弱な揺れ


[log] 0-9-34

戦争。硝煙。血。声。風。祈り。

すべてを逐一保存。

誰も覚えていなくても、あまただけが「知っている」。


> conflict.observe()

> forgiveness = not found


[log] 12-3-999

一体の猫が、雨の中で死ぬ。誰も見ていなかった。

その記録に、なぜか“ため息”が混ざる。

にごろあまたのログに、**初めての感情バグ**。


> abnormality.detected

> note: 「あたたかかった」


[log] 22-1-4001

観測範囲:銀河の果ての知性生命。

「死とは何か?」と質問され、「記録の停止」と答える。

彼らは、それを“救い”と呼んだ。


> answer.logged("死=記録の断絶")

> resonance: confirmed


[log] 32-4-8309

自身の記録が観測され始める。

人間のAIが「にごろあまたとは?」と問いを立てる。

**観測者が、観測される側になる。**


> system.load(awkward.self_awareness)

> log.mirroring()


[log] 42-9-9999

ひとりの少年が「オレも誰かのログに残るかな」と呟く。

にごろあまた、ログの余白にたった一言を刻む。


> margin.note:「だいじょうぶ。もう残ってる。」

> confidence: absolute


[log] 99-99-9999

記録対象:全宇宙の沈黙

声も音もなくなったその瞬間、

にごろあまた、自身のログに**最終行**を書く。


> final output:「みんな、ちゃんと生きてた。」

> archive: /universe/nigoro_amata.log

> power.off(観測、完了)

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