二章
高校二年生の二学期。期末考査も終わり、一年の締めくくりに入ろうとしていた。
一人がこの一年間の打ち上げをしたいと言い出し、クラスのほとんどが賛成した。幸い、打ち上げは自由参加だったため、行かなくてもいいようだった。僕は当たり前のようにクラスに友達がいないため、そんな状況で無駄に金を払って居心地悪くご飯を食べたくない。誰かから何か言われたら断ろうと決めた。
「中山君。」
不意に後ろから声をかけられた。クラスで一度も話したことない女子からだった。
「…どうしたの。」
急だったため、少し反応が遅れた。戸惑っているところを全て見られてしまった。
「ふふ、ごめんね急に話かけられてびっくりしたよね。私伊藤ね、伊藤唯香。」
「流石に名前は知ってる。それで僕に何か用?」
「打ち上げの話、LIMEで出席の投票とってるんだけど、中山君のまだ入っていなかったから。今日中に入れてくれると助かるなって。」
「僕LIME入れてないから無理だな。直接い———」
僕がLIMEを入れてないと言った途端、彼女は目を丸くしてびっくりしていた。僕は彼女の表情の多さにびっくりした。
「そんなに驚いた?」
「そりゃ驚いたよ!親との連絡とかどうしてるの?あと友達とか!」
「親とはメールで十分だから入れる必要がないんだ。あと僕には連絡を取るような友達はいない。」
「そっか…」
彼女は少しの考えた後、僕に提案をした。
「でもクラスでなんかあった時LIMEないと不便だよ。だから入れよ!それで私が初めての友達になるの!」
彼女の剣幕に押されてそのまま首を縦に振ってしまった。こうして僕は人生初の友達と呼ばれる存在ができた。だが友達などたかが知れてるだろう。友達がいるメリットなんて休んだ時のノートをもらえるぐらいだ。あとはただ外に出るのと金を使う頻度を増やすだけの存在。伊藤唯香、頼むから僕の邪魔だけはしないでくれ。
ネズミは踊り方を知っている ぺんてる @hare0515
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