変わり者のソレイユ

翠ノ昇

タイトルを変えましょう

第一章 オープニング

 逃げ出した。

 そうやってなんとか生き延びてきた。


 ずっとそうしてきたんだから、成功してきたんだから。

 これが正しいはずだった。


 逃げてきた外の世界。太陽の光の下。柊の足に違和感を覚えた。


  「今度は何……!」


 地面が暴れ出した。

 踏ん張りきれずに尻餅をつく。心臓がキュッとして、バクバクと鳴り響いた。


 地面は揺れる。揺れている。

 

 体が動かせない。体が言うことを聞かない。


 (どうしよう、避難訓練なんて何年もしていないのに)


 道路、コンクリート、真ん中。 皆柊を置いて行く。


 柊は孤独になった。誰かがそばにいたわけでもないのに。


 地面に手をついて、四つん這いでどうにかしがみつこうとした。

 整備されたコンクリートにはしがみつく凹凸なんてないのに。

 

 そばで石の砕ける音がした。

 

 揺れで地面が割れたのだ。

 

 亀裂は雷の如く走り出し、石の囲いに到達する。


 刹那、塀の瓦礫が襲いかかってきた。




 

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