第13話 収穫と新たな気づき

ついに収穫の時期がやってきた。今年の作物は昨年の倍以上――あの過酷な毎日を乗り越えた甲斐があった。藤村は畑を見渡し、満足そうに手を擦り合わせた。


「すごい、今年は本当に大豊作だな……」


隣で作業していたヴァリオが、藤村の方に視線を向け、冷静にその成果を評価しつつ、ふと尋ねた。


「お前、どうしてこんなに頑張ったんだ?」


その質問に、藤村は思わず驚きの表情を浮かべる。普段、ヴァリオはそんなことを聞くような人物ではなかった。しばらく考えた後、藤村は素直に答えた。


「えっと……ヴァリオ様に認められたくて、必死でした。」


ヴァリオは少しだけ驚いた表情を見せ、次の瞬間には無表情に戻ったが、その目には微かな興味の色が浮かんでいた。


「認められたい、か。」


ヴァリオは小さく呟きながらも、作業を続ける。藤村は少し不安げに彼を見つめていたが、しばらくして、ヴァリオがぽつりとつぶやいた。


「ふん、そうか。認められたいって気持ちがあるなら、もっと頑張れるもんだな。悪くない。」


その言葉に、藤村は内心で歓喜の声を上げた。「悪くない」――それは褒め言葉だ! 自分の頑張りが少しでもヴァリオに評価されたのだと実感し、藤村の顔に自然と笑みがこぼれた。


「やった……! ついにヴァリオ様から褒められた!」


その瞬間、藤村は心の中でガッツポーズを決めた。何か小さな勝利を手にした気分だった。それからも作業を進めながら、藤村は浮かれた気持ちで頭の中をいっぱいにした。


「もっと頑張ろう! もっと認められるように!」


その後、ヴァリオがふとつぶやく。


「お前、手際がいいな。もう少し見てやるか。」


その言葉に、藤村は心の中で歓喜を噛みしめながら、意気揚々と作業を続けた。


ヴァリオもまた、何かしら気づいたことがあるようだ。少しだけ目を細めて、静かに前を見つめていた。


「ふん……やっぱり、認められたいという気持ちは、何かを動かす力があるのかもしれないな。」


それは、ヴァリオがこれまで考えたことのない新しい視点だった。しかし、その言葉が藤村の頑張りに何らかの影響を与えたことには、ヴァリオも何かを感じ取ったのだろう。


そして、藤村は心の中で固く誓った。「もっと認められるように、頑張り続けよう」と。

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