第26話

「でも契約はしてないんでしょ?笑」


静かになりかけていた場に、かなこの声が割り込んだ。


「え〜?そこまでしてて契約してないなんてある?笑」


「でもルナがそこまで行けるとは思えないんだよね〜」

と、まるで私を見下すようにかなこが言い放った。


(……なんでそこまで言われなきゃいけないの)

悔しさとかなこの見下した態度に気分は悪かった。


その瞬間、私の口からとっさに出たのは――嘘だった。


「契約……してるよ」


言ってしまった。


その一言で周囲はさらに盛り上がる。


「えっ!?ほんと!?」「すごすぎる!!」


「LINE教えて!!」「繋がりたい〜!」


興奮した声が飛び交う中、かなこと翔だけは黙り込みじっと私を睨みつけていた。


(なんでそんなこと言っちゃったんだろ...じゅんにも申し訳ないな...)


嘘をついたあと、すぐに後悔が押し寄せてきた。


勝手にじゅんと同じ事務所で働いてるみたいなこと言っちゃった。

そんな嘘、最後まで突き通せる自信なんてない。


そんな中で翔が口を開いた。

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