続・俺だけ “健康歩道” で レベルアップ ！？　～宇宙人に洗脳されてた件について～

―――――― 足の裏が、無性に痒くなったことはありませんか？

これは、梅雨の季節 の とある人気温泉宿での出来事です。中年の女性（ここでは名前は伏せます）は、温泉の魅力に心を奪われ、リラックスを求めて何度も訪れていました。ところが、共用のふきマットや脱衣所の濡れた床が、彼女にとっては思いがけない落とし穴となったのです。初めはかすかなかゆみと乾燥が現れただけでしたが、数日後、症状は予想もしなかったほど異様に進展していきます。

突然、足の裏と指の間に広がる赤い発疹と、耐えがたい痛み。それは、ただの水虫ではなく、進行性の真菌感染症へと転じていたのです。医師の診断によれば、最初の軽い症状を見過ごしていたために、菌は足の奥深くまで侵入し、皮膚のバリアを崩壊させ、ついには細菌の二次感染も引き起こしてしまったといいます。治療が遅れた結果、彼女は入院を余儀なくされ、場合によっては外科的介入——感染した部分の切除など——が必要なまでに悪化してしまったのです。

◇

「無いない。ありえんわ。水虫ごときで、足裏を切断なんてありえんやろ。ほんまヤブ医者は、ろくな奴がおらんな。そう思うやろ、オッチャン」髪を金髪色に染めたやや肌の黒い女子高生が、馴れ馴れしくも話しかけてきた。

「この時代に やぶ医者 なんて、いないと思うなー。情報化社会だよ。やぶ、なんて言われたら恥ずかしくて生きていけないだろ、ハッハハ、ハックション！」

(おやおや。俺が有名人だと知って話しかけてきたのか？ でも宇宙人じゃないんだよなー) などと自惚れていた俺は、鼻高々に 返答をした。

ここは、総合病院の皮膚科の待合室。

綺麗に ハゲあがった 俺の頭頂部を山姥（ヤマンバ）系女子高生が パチンと叩いてきた。

( ﾟДﾟ)ﾊｧ?

俺は、転生者だ。そして、若い頃は 神々の恩恵を いつか きっと授けられると思いきや、、、『ガチ』の無能力者で ４０代に 突入し、アレや コレや で もう、５０代。

前世は、日本人の父とヨーロッパ人の母のあいだに生まれたハーフ。

磯野 ナルト、それが転生前の名前だ。

幼少期は人気者だったが、社会に出る頃には差別の的になっていた。

それでも、無難に生きて無難に死んだ方だ。

テレビの使い方も分かれば、ビデオデッキ，CDプレーヤーの使い方も熟知している。ただし、製造の仕方はまったく知らない。

あっちで生きていた頃は、まるで科学に興味がなかったからだ。

「使えればいいや」程度の感覚が、良くなかったのだろうな。

こっちでは、前世の知識が足枷になってしまった。。。

つまり、いつかは科学が発展するのだから、魔術なんて勉強しても仕方ないや

とか思って、勉学をあきらめていたのだ！

こっちで、大人になってしまった俺は就職活動に奔走。

だが、面接官に「言葉遣いがなっていない」と 注意されたことはあっても、頭を叩かれたことなど 一度も 無いわ！

俺は このガングロ女子高生に 文句を言ってやろうと思いつつも、モラハヤ とか セクハラ とか言われたら、また 刑務所 行きになったら、どうしようかと悶々としていた。

そんな俺の無言の圧を感じたのか、、、いや、きっと そうだろう。

「おっちゃんの幸運、ちょっと貸してもらうわ。これ『ジャンクション』言うねん。覚えときいや」

言ってる事は わからんが、前かがみの姿勢。

胸の谷間をちょっとだけ、見せてもらった。

この星に帰ってきて、ラッキースケベが やたらと 精を出してくる。

（俺のアレが、魔王と呼ばれる日も近いのかもしれないな）

とか、どや顔で思っていたら、看護師に呼ばれた。

中へ入ると、患部を見てもらうべく ゆっくりとした動作で脱いだ。

もちろん、――パンツではない。靴下の方だ。

「これは ひどい！」

そう声を荒げたのは、皮膚科の医師だった。

「どうして、もっと早くに来てくれなかったんですか？」

丸っこい顔に黄ばんだ歯が、５０代のオッサンの顔に近づいてくる。

めっちゃ 口臭が クサい。

「いや、大したことないと思って・・・」

「両足を切除しましょう」

( ﾟДﾟ)ﾊｧ?

「一生痒みと向き合って生きていくのは辛いですよ。なら、思い切って切り落とした方が良いと思いまえんか？」

いきなり訳の分からないことを言ってきたので、

取り敢えず、右頬をハツってやった。

「これが『ジャンクション』って ヤツか！」

思わずヤッてしまった。

あぁ、なんてことだ・・・なんてことだ・・・。

自らの右手を睨みつけた。

自分で驚くほど 恐ろしい 行動に出てしまった。

すると、左の奥歯が うずき 始めたではないか。

「こいつ、虫歯で オカシクなっていたのかッ？！」

どうやら、口に出していたらしい。医師の顔が真っ青になっていた。

「け、警察を呼んで！」と 看護師が騒ぎ始めた。

俺の時代は、国家機構刑査（けいさ）隊だったのに、たかが 500年で 随分と時代は変わってしまった。なんで、警察官が小型超電磁砲（レールガン）とか携帯してるんだ。当たったら、痛いだろう！

とはいえ。暴言とか暴行で また、奴らに捕まる訳にはいかない。

・・・。

俺は『ジャンクション』という、謎を追うべく この地を 址（あと）にした。

◇　つづく