桜は桐より美しい

リーリ

第1話

百円玉の裏に描かれるほど有名な花は何だろうか?答えは桜だ。日本を象徴する花で外国人にもよく知られている。お花見文化もあり人の名前にも使われるほど人気で愛しい有名だ。姉のように_。

五百円玉の裏に描かれているが有名でない花は何だろうか?答えは桐だ。桐は花木であり昔嫁入り道具として用いられる桐箪笥(きりたんす)に使われる木材だ。人の名前に使われることもあるが桜に比べれば10分の1にも満たないだろう。無名で特に人気のない花だ。私のように_。


随分ひねくれた事を考えていたわ。こんな事を考えても何にもならないのに。「桐?早く桜の手伝いをしなさい。」1階からよく通る母様の声が聞こえた。「はい。」通らない声で答える。私の姉である桜は知的障害を患っている。軽度ではあるものの、1人で生活することは厳しいだろう。だから妹の私も母と共に桜の介助をする。トン、トンと重い足取りで1階に降りる。食事を食べ終わり服のボタンを止めるのに苦戦する桜がいた。「_ボタンを留めるね、」桜のボタンに手を伸ばす。桜は喋らない。私にも母様にも。午前7時15分そろそろ私の出発時間だ。「そろそろ行ってきます」そういうが返事は来ない。いつもの事。母様は桜だけで手一杯。いつもどうりダイニングの上にある学食代五百円を取って玄関を出る。

「あ!花江さんちのお姫様!!」通学中の小学生から指をさされて言われてた。「人に指さしちゃダメだよ!!」最近の子はしっかりしている。低学年くらいだろうに間違いを指摘出来るなんてそこら辺の大人よりも立派ね。「おはよう。」と挨拶をしてバス停に向かった。


「お嬢〜」呑気そうな眠そうな声が聞こえた。振り返るとバレバレのスクールメイクにボブの良く似合う少女がたっていた。「おはよう」彼女は、井上紅読みはいのうえルージュだ。かなかなかのキラキラネームだが本人は気に入っているらしい。「お嬢〜今日の英単範囲どこだっけ?」「58ページから62ページよ」「まじ!?範囲間違えた……」中々に抜けているが根は素直で勉強そこそこできる。「お嬢ってその言い方やめっててば」お嬢とは私のあだ名だ。私の家は老舗旅館のオーナーだ。そのおかげで裕福な暮らしをしている。そんな私を世間はお嬢様やお姫様と例えては似たようなあだ名をつけた。「だってお嬢はお嬢じゃん!!」唇を尖らせ不貞腐れているように魅せるルージュはやっぱり可愛い。同性の私でもそう思う。

「どっかのカタギみたいじゃない。」「あ、確かに」そう言ってケラケラの2人して笑うこの時間が大好き。そんなことを行っている間にバスが来た。今日は人が少ないわね、良かった座れそう。今日も学校が始まる。

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桜は桐より美しい リーリ @kipamjg526

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