【質問企画】あなたの作品の2人組について知りたい
『これより、質問企画…午後の部を開始します。当会場では飲食、喫煙は禁止しております。携帯電話の電源を切り…』
目に巻いていた包帯を外し、左目に灰色の眼帯をつける。
「…本当にやるのか?」
「会場で、自己紹介なんて私の主義ではないけど、前金は受け取っているからね。張り切っていこうじゃないか…圭。」
アナウンスが終わり、会場の幕が上がる。決して…観客席を見ないように、私は圭を右目でじっと見つめる。
1.名前と相手の呼び方は?
「圭。まずは、君からだ。」
「えっ、あ…俺は田中 圭。27歳。ちょっと前までは傭兵だったけど色々あって今は某ゲーム会社に勤めていて…探偵の仲介役兼、護衛役をしている。よ、よろしく。」
「緊張しすぎだ。もっと肩の力を抜きなよ…全く。私が手本を見せよう。私は……」
ガッシャァァアン!!!!
「っ!?」
「見苦しい姿で済まない…高校生の時の制服を着ているけど、歳は21。どんな難事件でも話を聞いたり、事件現場の間取りを見ただけで全てを理解してしまう、警察や他の探偵達には『悟り探偵』と呼ばれている…嫌われ者さ。」
「ま、待て…突然、照明が落下した音で、名前が聞こえなかったぞ!?」
「ナイスタイミング…おっと口が滑った。」
「?…っ、まさか!!」
「ふ。遂に、私の名前が聞ける絶好のチャンスだったのに…運が悪かったね。圭。」
「クソっ…またやられた!?」
2.お互いの出会ったきっかけ、ついでに第一印象は?
「夏休み…組織から身を隠す為にホテルに滞在していた時……飲み物を買った帰り道に、車椅子に乗った探偵が、側溝に引っかかっていたんだ…今でも、鮮明に思い出せる。」
「…で、私の第一印象は?」
「………」
「そこで、私に恋しちゃった圭は置いておいておくとしてだ。私の第一印象は、ようやく会えた…って所かな。君とこうして会う事は、密室事件が起きるホテルに到着した時点で、分かっていたからね。」
3.付き合いの長さはどれくらい?(完結済みの作品なら、完結時でも後日談でも。連載中なら任意のタイミングで)
「2年は経っていない筈だ。そうだろう…圭?」
「…そうだな。」
「少しからかっただけで、拗ねないで欲しいものだね。」
4.意見が割れたらどちらが折れる?
「…俺が折れる。探偵は、頑固で守銭奴な奴だから。」
「否定はしないさ。私は、頑固で守銭奴な奴だからね。それはそうと圭…君が私に無断で密かに撮っているらしい『探偵寝顔コレクション』についての、お話をしようか。」
「はうぁ!?ご…ごめんなさい、あれだけは本当に、出来心というか…勘弁して下さいっ!!!!」
「…やれやれ。」
5.相手が機嫌悪いとき、どう接するのがいい?
「あれ…そういえば、探偵の機嫌が悪い所を一度も見た事がないな。」
「機嫌というか『気分』が悪い方が多いからね。私は…ほら、こんな姿だし。」
「確かに。じゃあ…俺の機嫌が悪い時は、どう接してくれるんだ?」
「ん。そうだね…」
(ワクワク)
「…うん。その時は全力で、圭から離れるとしよう。私の貞操が大ピンチだ。」
「べっ…別に!?そんな事しないぞ!!!」
6.贈り物したことある?or あげたいものはある?
「贈り物は…した事がないな。何か欲しい物とかないか?今すぐ、買いに行くけど。」
「買いに行ってくれるのは嬉しいけれど、せめて、質問企画が終わってからにしようか。」
「お菓子…いや、流行りのアクセサリー?」
「…発想が高校生男子のソレだね。」
「それか……指輪…」
「…っ!?」
「…どうかしたか?」
「あぁ…いや。何でもない。」
「……?」
7.どこまで頼れる?
「俺は…探偵の役に立ててるのかな。」
「謙遜するのはいいけど、君は仲介役でもあり護衛役…有事の際は全幅の信頼を寄せて、私の命を預けられる大事な存在だ…忘れないでね。圭。」
「っ……録音しても、いいか?」
「それは…うん。やめて欲しいな。」
8.相手のことどうやって褒める?
「これは困ったな。圭は私がどんな事を何を言っても、嬉しくなるだろう?」
「そんな事はないって…否定しにくいな。」
「だろうね。なら、試しに私を褒めてくれ。」
「…ボサボサな長髪が可愛い。白黒まだらな髪色が美しくて…その姿から、庇護欲がそそられる。君を守りたい…俺は君の事が…す、すっ…」
「ありがとう。私に対して…そんな普通な事を言ってくれる事が、何よりも嬉しいよ。」
「……な、なら。良かった。」
9.相手のことどうやって怒る?
「私は圭を怒らない。君の事は全て理解しているからね。」
「俺は…もし、探偵が間違った方向に進むなら、怒ってでも止めるよ。」
「ふ。それはいい…もしその時が来たなら、全力で叱ってやってくれ。」
10.ごめん! 実は黙ってたけど……
「あ…あの。」
「さっき挙げた『探偵寝顔コレクション』の事?」
「っ!?あーあー聞こえない〜!!!」
「それとも寝ている私の髪を撫でたり、頬を触ったりしている事?」
「あーあーあー!!!!!!」
「或いは欲求不満の時に使用するエッチな本…そのジャンルが欠損系女子か、私に似ている子を選んで買っている事について、話をしたいのかい?」
「聞こえないよ——!!!!!」
「大声を出して、耳まで塞ぐとは…圭が聞こえてないなら丁度いいし、私も実は黙っていた事を伝えようか。こ、こほんっ…」
——黙っていたけど、実は私も…圭の事が好きだよ。
10-2.ごめん! 実は黙ってたけど、冷蔵庫のプリン……
「冷蔵庫のプリン?ああ…昨日、圭が誤って落としてしまった奴か。」
「…すり替えてたんだけど、やっぱり、バレバレだったか。」
「いや、推理するまでもなく…市販のよりも明らかに美味しかったからね。今度、孤児院に来る機会があれば、子供達にも振る舞って欲しい。それで、この件はチャラだ。」
「あ、ありがとう。」
11.相手について最近初めて知ったこと
「それはないね。君を見た時点で私は圭の事は全て理解している。」
「俺はあるぞ。」
「へぇ……試しに、言ってみなよ。」
「2週間に1度、3時間周期で、寝ている時に『にゃんにゃん』って言う。」
「!?………そ、それは。私でも、知らなかったな。」
12.相手が血だらけの手で帰ってきて「人殺しちゃった」と言った。あなたはどうする。
「探偵が…?いや、え…そんな事……」
「いやいや、ないない。冷静に考えて探偵である私が殺人事件の犯人になる訳ないだろう?仮になったとしても、迷宮入り確定だ。何せ、私が主犯格で、君が共犯者になるだろうから。」
「そうだよな…え?俺、共犯者なのか!?」
「護衛役以前に、私の助手…相棒でもあるからね。逆に圭なら…すぐに警察に出頭して自白する事を勧めるよ。刑務所に入っても、たまに遊びに来てあげるから、寂しくはないよ?」
13.YES/NOで答えてください
・誕生日知ってる→
「答えはYES。圭の誕生日は7月7日。奇しくも…七夕の日だ。」
「NO…正直、知りたい。」
「…ふふっ。」
・肩組める→
「答えはNO。車椅子だしね。身長差とか考えても、難しいだろう。」
「NO…だけど組めるものなら、組みたいな。」
・ビンタできる→
「答えはNOかな。やる意味を感じない。」
「俺もNO…かな。」
・食べ物「あーん」できる→
「試しに私に…してみるかい?丁度、スタッフさんが、持って来てくれたよ。」
「っ!?いや…観客の前で、する事じゃ……」
「あーん。」
「ぐっ…ああもう、分かったよ!!!食べさせればいいんだろ!?」
「…ん。美味しいね。」
・お財布貸せる→
「答えはNOだ。金は信頼や命よりも重い。」
「俺はYESだけどな。」
「……。」
14.相手にひと言なんでもどうぞ
「何でもって…どうすれば……」
「『これからも末長く宜しくね…圭。』」
「え……それって。」
「おや。何か勘違いしていないかい?探偵の助手…私の相棒として…だよ??」
「そ、そうだよな。なら…『こちらこそ、不束者ですが宜しくお願いします。』」
「「………。」」
15.ここまでありがとうございました。お二人が登場する作品を宣伝してください!
「宣伝…ね。『悟り探偵の事件簿』をよろしく〜…おしまいっ。」
「え。それだけでいいのか!?」
「うん。前金は既に貰ったし…それ以上のモノも貰えたから。」
「……?」
『これで、質問企画…午後の部を終了します。お忘れ物がないか、もう一度ご確認を……』
ナレーションの声と共に、幕が閉じた。
「さて。これからどうしようか。今日は『悟り探偵』としての依頼もないし……」
私は知っている。圭の可愛らしい嘘も…この後、圭が言う台詞すらも。
——近くに、アイスクリームが美味しい出店があるんだ…行ってみないか?
そこで、冷たくて美味しいアイスクリームを食べた後…孤児院に戻って、誕生日プレゼントを受け取るのだ。
その中身は———
「近くに、アイスクリームが美味しい隠れた名店があるんだ…行ってみないか?」
「うん…いい暇つぶしになりそうだ。たまには圭に付き合ってあげよう。包帯を目に巻くのを手伝ってくれないかな?」
「!…分かった。」
うん……ここで結末を語るのは余りに無粋だろう。後は、ご想像に任せようか。
了
悟り探偵の雑談会 蠱毒 暦 @yamayama18
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