第8話 初めてのコラボ配信②

「涼奈何食べてんの!?ほら今すぐペッしなさい!」


「やだ」


「やだじゃなくて、それ本当にやばいやつだから今すぐ吐け!」


 苑夏が掴みかかって魔石を口から取り出そうとしてくる。

 ...さては私から魔石を奪って独り占めする気だな?そんなこと私が許してなるものか!


「吐け!」


「やだ!」


〔俺たちは何を見せられているんだ...〕

〔魔石って確か食べたら穴という穴から血吹いて死ぬんじゃなかったっけ?〕

〔ヒェッ〕

〔涼奈ちゃん何やってんだ!〕

〔苑夏ちゃん今すぐ吐き出させるんだ!〕


「バリッゴクンッ──美味しかった...」


「あ...食べちゃった...涼奈、あんた悪いやつじゃなかったよ...来世では蝉くらいにはなれるように祈ってるよ」


「?」


〔あのなんか苦しんでる素振りすらないんですが...〕

〔あっもう1個食べた...〕

〔美味しそうに食べてるな〜(遠い目)〕

〔なになにどゆこと?〕


 コメント欄と苑夏がやけに騒がしい...たかだか魔石を食べたぐらいで大袈裟な...

 魔石を食べたらダメということならもう何度も食べてるから意味ないと思うけど...

 うん、おいひい...


「え、?涼奈大丈夫なの?」


 やっぱり良くないのかな?心当たりがないといえば嘘になるが、以前師匠と一緒に魔石食べてるときに「魔石は美味しいだろうが他の人に押しつけたら絶対にダメだからな...」と言われたのを思い出す。

 あれかな?、天然記念物を殺しちゃダメみたいな感じなんだろうか...?

 それなら本当にごめんなさい...


「絶対違うと思うよ?」


 ダンジョン省とかの人になんて言い訳をしようか考えていると苑夏が呆れた目でこちらを見ていた...

 やっぱり私表情に出やすいんだろうか?


「もういいや、じゃ質問コーナー続きしまーす」


〔苑夏ちゃんの半目が俺の癖に刺さった気がした〕

〔困惑してる涼奈ちゃん可愛い〕

〔結論、どちらも可愛い〕

〔心配コメント完全に消えてて草〕


 なんだろう凄くバカにされてる気がする...バリボリ、美味しい...


「で次は涼奈ちゃんはどんな生活してるの〜だって...大丈夫、答えられる?」


 若干煽りの入った言葉だったため私はそんぐらいできるわ!と心の中で叫び自信満々で答えた。


「き、基本は学校に通ってて、えっと休みの日とかにだ、ダンジョンとかに潜ってましゅっ...(小声)」


〔やべぇ聞こえねぇ...〕

〔いや、イヤホンしてから音量MAXにしたらかろうじて聞こえるぞ!〕

〔ASMRかな?〕

〔www〕


 〜〜〜


「お疲れ〜!ふぅ終わった終わった!」


 苑夏が大変だったとでも言いたげに息をつく...

 私も超疲れた...人前で話すとか本当に疲れる...でもこれ続けないといけないんだよなぁ...もしやらないと師匠の修行...

 前回の修行を思い出し思わず身震いする。


「もしかしてエアコン低かった?ごめん、今上げる」


 恐怖の身震いを寒すぎたのかと勘違いしていたので大丈夫と一言入れ2人して床に倒れる。


「涼奈今日楽しそうだったね?」


「え?」


 唐突に苑夏が放った言葉に私の思考が停止する...


「楽しかった?私が?」


「幼馴染として長い月日を一緒にしている以上私の目は誤魔化せぬぞ〜!明らかにいつもよりテンション高かったじゃん!」


 そうかな?そうだったのかも?まだよく分からないけど次の配信が少し楽しみになった今日この頃...


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 読んでいただきありがとうございます!

 こちらも更新はしていくのでよろしくお願いします!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る