第15話:光の先に
あれから、少しずつだけど、僕は前に進もうと思えるようになった。
学校の窓から見える空は、相変わらず灰色だったり、晴れ渡ったりする。だけどそのどちらにも、確かに光はあるのだと思えた。
一人きりだと思っていたこの世界にも、僕を想ってくれた誰かがいた。今も、見えないところで、僕を支えてくれている。
だから僕も、生きる。あの日、久志が僕にくれた命を、手放さないために。
僕は空を仰ぎ、そっと微笑んだ。
柔らかな風が吹き抜ける。
蒼く澄んだ空の下、
新しい一歩を踏み出す音が、静かに響いた。
志火 ―祖父が遺したもの― 鈴森朔 @sakusuzumori
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