第14話 緊張
「マーガレット。迎えにきたよ。」
「ユーリス様、ありがとうございます…!」
私はユーリス様が乗ってきた馬車に乗りトルーレン家へ向かう。王家に行くのは久しぶりですごく緊張する。しかもそれが違う国の王家だから余計に…
「マーガレット?何かあったのか?」
「あ、いえ…ただ緊張してしまって…」
素直に緊張していることを伝えればユーリス様は私の背中を優しく撫でて落ち着かせてくれた。
「マーガレット。何も緊張することはないよ。ただ夕食をするだけだ。みんないるけどね。」
「まさか…みなさんお揃いなのですか…?」
「当たり前じゃないか…!君をいずれ僕の妻にするんだ。今のうちに紹介しておかないとね。」
「…はい…」
(ああ…この人本気だ…本気で将来の妻って私のことを紹介しそう…)
そして、その予想は的中した。
「お父様、お母様。こちらが僕の将来の妻、マーガレットです。」
あ…やっぱりそう言ったか…
予想していた通りだったわ…
まだ、何の関係もないのに将来の妻と紹介するのは変だと思う…それに不審に思うだろう。そして、数々の縁談があるにも関わらず、ユーリス様が隣国の公爵令嬢である私を紹介しに連れてきたことも尚更嫌な気がするけど…
「お初にお目にかかります。マーガレット・フィーレスと申します。」
不安がある中私は自己紹介をする。
だけど、そんな不安とは裏腹にアリオス国王陛下たちの顔はすごく嬉しそうだった。
「おお!君が我が息子の言っていたマーガレット嬢か!確かにユーリスが言う通り、綺麗だな!エレーナ君もそう思うだろ?」
アリオス国王陛下が話を振ったのはその妻であるエレーナ王妃様だった。
「そうですね…!すごく綺麗ですわ!長いまつ毛に透き通るようなブルーの目。髪の毛もすごく綺麗ですわ…!」
エレーナ王妃はこのシュタレスティア王国でも一番の美女と言われている方。そんな方に綺麗だと言ってもらえるのはすごくありがたく嬉しく思う。
「恐れ多いお言葉、感謝いたします。」
国王陛下と王妃様の後ろから顔を出してきた一人の男性。
「夜会のとき以来ですね。マーガレット嬢。」
(わぁ…本当に綺麗な顔……)
「お久しぶりです。アラン第二王子殿下。」
この人はアラン第二王子殿下。
ユーリス様の弟だ。アラン第二王子もユーリス様と同じで冷たい人だと噂されている。だけど、この噂に関しては本当な気がする。
アラン第二王子殿下は明らかに冷たい人だ。
笑顔を見せないというか…いつも無表情な感じ。
「マーガレット嬢、屋敷へ上がりなさい。一緒に夕食を食べよう。」
「はい。ありがとうございます。」
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