第7話 涙の意味
「マーガレット…すごく美味しいよ!毎日作ってくれ!」
「お断りします!」
明らかに落ち込んでるけど、そりゃ嫌に決まってるでしょ…色々工程大変なんだから…それに、全部が全部ユーリス第一王子の好みの味なわけないのに…
って、私はなんで作る前提なんだ…
完全に王子の雰囲気に飲まれてるというか、流されそうというか…
「マーガレット様!タラの方はいかがですか?」
不安そうな顔をしてるけど、レイスの料理が美味しくなかったことなんて一度もない。
「レイス、今日もすごく美味しいわ!」
「!!ありがとうございます!!」
レイスっていつでも幸せそうに笑うからこっちまで幸せな気分になる。レイスは私にとって家族でもあり、癒しの存在なのかもね?
「マーガレット!このサーモン!すごく美味い…いつもこうやって作っているのか?」
「いえ…婚約する前ならレイスと一緒に作っていましたが、それ以降は全く…」
「…そうか。」
一気に雰囲気が暗くなった夕食。
こんな雰囲気にしたかったわけじゃない。
でも、なんでだろう…
どうして…どうして…
──涙が溢れるんだろう…
「私の何がいけなかったのでしょうか…国のための婚約…好きでもない相手との婚約だった。それなのに、どうして涙が溢れるんでしょうか…あんな男のために泣きたくないのに…」
お父様やお母様への申し訳なさから?
それとも、私が知らないうちにロベルトを好きになっていたから?そんなはずないのに…それなのに、どうしてこんなにも涙が溢れてしまうんだろう…
そんなとき、肌に感じたのは暖かい人の温もりだった。
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