第4話[老剣士は夢を見る]

一体どれほどの距離を進んだだろうか。途中途中で休みを挟んてはいたが、丸4日間はだいたい歩きっぱなしだ。皆んな疲れて、楽しくお喋りすることすらなくなった。ただ幸いなことに、街の一番高い建物の先っちょらしきものが水平線上に現れた。まぁ、見つけてからさらに下が見えてくるといえばそんなことはなかったが、歩むことの希望としては十分だった。

 何も考えず歩いていた時、突然一人の剣士が目の前に現れた。銀色の髪の和服を着た老いた男で、刀を腰にぶら下げている。いや、どちらかと言うと侍だろうか。その男は開口一番

???「頼みたいことがあるんだ」

と言った。そして次に

「戦ってくれねぇか?」

と言った。その言葉を聞いた瞬間、僕は寒気がして一歩後ろに下がる。そして慎重に剣の柄を握る。マツカゼも同じように臨戦態勢を取った。しかしその動きを見た老剣士は驚いた表情をして、手を上に上げた。

???「だー、別にお前等と戦いたいわけじゃねぇよ!すまねぇ、ダメな言い方だった」

その言葉を聞き、マツカゼと一緒にホッとため息をついた。

シャンライ「じゃあ、その意味はなんなのさ。いやその前に、お前の名は何だ?」

???「よくぞ聞いてくれた!とくと驚け!名はコジロウ、姓はササキ。ひと呼んで、風上斬りのササキコジロウとは俺のことさ!」

………。

ヒカリ「?」

コジロウ「え?」

マツカゼ「ん〜?」

コジロウ「おいおい、嘘だろ?」

シャンライ「ん?」

コジロウ「まじかよ、知らねぇの」

コジロウと名乗った男は肩を落としていた。そして明らかにテンションの下がった声で話し始めた。

コジロウ「あー、お前等もヴァルハラに行こうとしてる面だろ?…俺はこの世界の人間じゃねぇ。そこに行けば何かあると思って歩いていたわけなんだが」

コジロウ「下町には入れたものの、この国のトップには会えなかったんだ」

シャンライ「そりゃそうだ。よそ者を入れてくれるわけないからな。だけど...何か方法があるから私たちに話しかけたんだろう?」

コジロウはにやりと笑い、テンションを取り戻して話し始めた。

コジロウ「そう、その方法は、、、戦場に行くことだ」

それを聞いたマツカゼは、疑り深い声でになって

マツカゼ「ヴァルハラで何かをするのではなく、戦場に?」

と聞いた。コジロウは頷いて、理由を言った。

コジロウ「自分より上のものに会うために手っ取り早いのは、関係者になることだ。上から認められる功労者になれば、いずれ相まみえることだろう」

僕たちは深く考えた。

シャンライ「どうするヒカリ?」

確かに功労者になれば手っ取り早いかもしれない。でも、死の危険性もある。...いいや、危険なことだろうがなんだろうが、やることが一番だ。

ヒカリ「行こう...戦場に!」

コジロウ「そうと決まれば出発だ。場所は世界樹、「ユグドラシル」。」

ヴァルハラへの歩みを止め、ユグドラシルへ進み出す。遠回りかもしれないが、何事もそれこそが最善だ。まだコジロウを信じきれた訳ではない。それでも自分を見つけるために戦場へと向かう。



 

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