第30話
001 名前:名無しの探索者さん
なんか、ダンジョン25階層に入場した人がいるらしいぞ。
002 名前:名無しの探索者さん
なんだと思ったらデマか。世界最高記録が日本の21階層なのに、25階層に入場した奴がいるわけないだろ?
003 名前:名無しの探索者さん
それが、本当にいるかもしれないんだってさ。
004 名前:名無しの探索者さん
いるならいる、いないならいない、いるかもしれないってなんだよ?
005 名前:名無しの探索者さん
ここの動画見ると、元々25階層モンスターの吸血鬼の野郎が、ハルヤっていう配信者の父親を知ってるって言及したらしい。だから一部ではハルヤの父親が25階層に上がったんじゃないかって話が出てる。
006 名前:名無しの探索者さん
俺、ダンジョンよく知らないんだけど、それって可能なことなの?
007 名前:名無しの探索者さん
理論的には可能だけど、現実味は薄いよな。月下一閃みたいな大手クランでも21階層が限界なのに、個人勢が25階層まで上がるって?そんな猛者が隠れてるなんてありえないだろ。
008 名前:名無しの探索者さん
ふむ、つまり一種の都市伝説か。
009 名前:名無しの探索者さん
今のところはそう見るのが妥当だろうな。これから何かもっと明らかになれば分からないけど。
010 名前:名無しの探索者さん
それはそうと、ハルヤ配信マジで面白い。他の配信はステータスでゴリ押しするけど、ハルヤは剣術の実力でゴリ押しするからカタルシスがあるっていうか?みんな一度見に来いよ!
011 名前:名無しの探索者さん
またハルヤ団か…最近ネットにハルヤ団がやたら増えた気がするな。
012 名前:名無しの探索者さん
ハルヤ団の横暴とは別に、ハルヤの配信が面白いのも事実だからな。
013 名前:名無しの探索者さん
俺、ハルヤ団嫌いだけどハルヤは認める。
014 名前:名無しの探索者さん
ファンが過激なだけで、ハルヤ自体は優れた探索者だよな。
015 名前:名無しの探索者さん
ハルヤ自体は認めるに値する。
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「春夜君、急ぎご相談したいことがありますので、すぐにクランへお越しください」
突然の伊藤からの呼び出しに、春夜は休憩時間も返上してすぐにクランへと向かった。
三日月、鈴音、朱音はいなかった。ただ伊藤と春夜の二人きり。伊藤の執務室で密談した。
「伊藤さん?急なご用件とは一体…」
「春夜君は、お父上のことをどれくらいご存知ですか?」
「え?」
突然父のことを尋ねる伊藤に、春夜は戸惑った。
「それは…他の家の子どもたちと同じくらいは知っていると思います。生まれつきの武骨で、毎日剣術の稽古に熱心です」
「では、お父上がどんな仕事でお金を稼いでいたかはご存知でしたか?」
「それは…昼は工事現場で働き、夜は道場の仕事をして、二つの仕事で稼いでいました」
「それが、事実ではないようです」
伊藤がテーブルに写真数枚を置いた。そこには春夜の父、浩二が写っていた。
「これは…!伊藤さん!父を発見されたのですか!?」
「落ち着いてください。これは半年前の写真ですから」
半年前といえば、春夜の父が失踪するずっと前の話だ。春夜は足の力が抜けて椅子に座り込んでしまった。
「これらの写真からご覧の通り、浩二さんは半年前から 継続的に ダンジョンに出入りしていたようです」
「え?ダンジョンですか?」
父が…ダンジョンに?春夜は当惑した。父が剣術の達人であることは知っていたが、ダンジョンに出入りしていたという事実は知らなかったからだ。
不思議なことだった。本当にダンジョンに出入りしていたのなら、なぜ父はその事実を家族には隠していたのだろうか?ダンジョン行きが特に恥ずかしいことではないではないか?
「春夜君は、なぜ浩二さんのことを調査することになったかお分かりですか?」
「それは…昨日、吸血鬼が父のことを言及したからではないですか?」
「それが、違います。実は私たちが調査したのは浩二さんではなく、黒月クランです」
「え?」
「黒月クランを調査中、黒月クランの依頼を受けた情報屋を捕捉しました。その情報屋に大金を払い、黒月クランがなぜ春夜君を狙うのかについて調べてみたのです。すると、その情報屋が送ってきた写真がこれです。黒月クランは以前から情報屋を通じて浩二さんのことを調査していたそうです」
「…黒月ですか?」
春夜が聞くところによると、黒月クランは有名な暗殺者集団だった。そんな暗殺者集団が、なぜ父のことを調べたというのだろうか?
「まだ明らかになっている事実は少ないです。しかし、一つだけ確かなことは、以前の吸血鬼の言及まで合わせると、浩二さんはダンジョンで何か重要な役割を担っており、黒月クランが春夜君を狙ったのは、春夜君が浩二さんの息子だからである可能性が高いということです」
「その言葉はつまり…」
「黒月クランの真の狙いは、春夜君ではなく浩二さんである可能性が大きいということですね」
「…」
春夜は混乱した。黒月がなぜ自分を狙うのかすら訝しいのに、この状況で父が絡んできて、状況はさらに混乱した。
一体父にはどんな秘密があるのだろうか。黒月はなぜ父を、そして春夜を狙うのだろうか。春夜の頭の中には数多くの情報がごちゃ混ぜになって、到底整理がつかなかった。
「混乱するのは理解できます。ただ一つ確かなことは…私たち側でも今までのことに責任を痛感し、春夜君の保護に専念していますので、春夜君も何か情報があれば私たちと共有してほしいということです」
「ここまでしていただく必要はないのですが…本当にありがとうございます」
「春夜君だけのためではありません。春夜君は今後、ダンジョン内の権力構造の中心に立つ人物です。確かな根拠はありませんが、今までクラン長として活動してきた私の経験と直感がそう言っています。ですから、春夜君の周辺を調べることは、私たちにとっては合理的なことです」
「…はい」
「ですので、春夜君と私たちは、単にクラン員という関係を超えて、同盟的な関係を築いていきたいと願っています」
「はい。私も感謝するばかりです」
「話はここまでです」
「では」
春夜は立ち上がって伊藤に一礼し、外へ出始めた。これからは忙しくなりそうな予感がした。
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