第一章終節 オートマティズムver1.2
私は螺旋に続く、無限の回廊を降りていく。それを左目だけの鴉が笑っていた。赤色の水を湛えた、洗面所が秩序を司っている。予定は全て、それに浄化された。
部外者が警笛を鳴らしている。
私は混在する宿命の渦を前に、創傷の果て、進むべき場所を目指す。
この世界に培われた思考の中で、つり革の上に金魚が一匹泳いでいる。
私の脳髄の先、繰り返される諧謔の嵐を、捕食者の目が捕えている。ここは羅漢の目指した回廊、牢獄が蠢いている、屈曲した円環の上。
光明の先に、正しきものへ捧げられた供物を見る。それは蝋と化し、輪廻に張り付けられた傀儡。それは勝利の約束された、あらゆる存在の証明。
視界の端で船はついに崩壊し、その窓から無数の目がこちらを覗いている。青が圧倒する、それに染められた狡猾な魂たちが沈んでいく。放蕩する風は、踊り子に揺られている。吹き荒ぶ嵐の果てに、傀儡はあらゆる存在を飲み込み、目を開く。
空に浮かんだルービックキューブの目が無数に光り輝き、眼下の洪水を裂く。
この劣等に塗れた装飾たちを、不甲斐ない世界の立役者が宥めている。そのありふれた救済は、私の拍動と律動を続けさせる。
『紺碧に染まった碧眼の乳母に片口鰯の石灰を与えよ』
その言葉と共に、生は突如現れた。あらゆる崩落の下に。その生は眠りついたゆりかごを起こす、存在のあらゆる肯定であり、損傷である。
狂気の果て、私は目にする。無限の象徴と梟の嘶きを。
暁の群れが、とめどない狂気の奔流を止める。
妄言を廃した体臭のフェチズムは、篩にかけられた死にかけの亡者に向けられる。
相対する無限の存在は歩み、去り、報復と加護を齎す。
私はそれに、震えた。
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