前のエピソード――第三章　オートマティズムver3

　振り出し。

　高架下の孤独、無縁仏。瑠璃色の孔雀が眺める。

　須く滞在された行燈の行列。放蕩する息子に煙管を焚べる。

　焚き出された体。輪郭の朧げな月夜の紅玉。

　ルンペン、フィールシンパシー、司るは赤。

　永遠の上位たる紅玉の舞う、月夜の狭間。

　振り返った痴女、白痴の面、巫山戯た面。

　アナフィラキシーの引き起こした回復不可能な円環に、飲み込まれた縮図。

　放り出された頭。目まぐるしい諧謔の嵐と群れ。

　妄想、瑠璃色、薄弱する、明滅する、混濁の海。

　放り出された円脚。美しい破壊。

　死の色を帯びた屈辱の瑠璃を、破壊する。目に見える存在。

　ありふれた死体。

　弄した言葉の数、恥ずかしげもなく披露される駆逐、その残滓。

　フリーズドライの孤独、盲目の司祭。暗澹の空を煙騒が覆う。

　振り出し、潜り込む狂気。

　鼠色の死体、浮上する無為。

　(※)妨げへの無力を憎悪する、血の嫌悪。

　不在の籠絡、価値。音像の外にラカンが落ちていく。

　無理やり引き出された価値存在。無意味を嘲る空虚。

　炎上する焔、宙に浮く価値、尊厳。

　双玉の悲哀、瑠璃、雨坊主。

　振り出しに戻る。

　円環する泥の人形。価値は耄碌した。双頭の鷲が脳を啄む。

　不可思議な供物がめいめいに踊る、襞に覆われた産道に道はない。

　酸性雨に呑み込まれ、消失する戯れ。

　意味のない懺悔と失敗。自意識は頽れる。

※このテキスト「オートマティズムver3」は、筆記中に外的介入（現実世界での会話、発生位置は文中の※印)が発生し、以降の表現に無意識ではなく意識の混入が発生した。没にすることも考えたが、文章に見受けられる外的介入後の明らかな変調は、興味深い。自動筆記の途切れとして記録的価値を持つため、そのまま収録する。