無意識の深海

鹽夜亮

第一章 オートマティズムver1

 螺旋に続く無限の回廊。左目の鴉が笑う。

 圧倒的な赤の洗面台が秩序を司っている。当面白紙にされた予定。

 警笛を鳴らす部外者。

 混在する宿命の渦。さもなくば進むべき創傷の果て。

 案ずるは世界よりも携る。吊り革の上の金魚。

 脳髄の先に延々と繰り返される誹謗の嵐と捕食者の目。

 羅漢の目指した回廊と牢獄の蠢く屈曲した円環。

 光明の先にある正しいものへの供物。

 蝋と化した傀儡の輪廻。

 あらゆる存在の証明と事後勝訴。

 崩壊する船と窓から覗く目。

 圧倒する青に染められた狡猾な魂。

 踊り子に揺られる放蕩な風。

 吹き荒ぶ荒らしの果てにあらゆる存在を飲み込んだ傀儡の目。

 籠絡する患者の左腕にある点滴の痕。


 ルービックキューブの目が無数に光り輝き、洪水が眼下を裂く。

 劣等に塗れた装飾を不甲斐ない世界の立案者が宥めている。ありふれた救済と拍動に伴う律動。

 紺碧に染まった碧眼の乳母に片口鰯の石灰。突如として表れた崩落の下にある生。眠りについたゆりかごを起こす存在のあらゆる肯定と損傷。

 狂気の果てに現れる無限の象徴と梟の嘶き。とめどない奔流をとめる暁の群れ。妄言を排除した体臭のフェチズム。

 ふるいにかけられる死にかけの亡者たち。

 歩み、去り、相対する無限の存在と報復の加護に震える。

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