日常戦記

@keikei114514

第1話 誰かの日常

2035年、それは突如この世界に現れた


巨体に獣の様な姿、まるで魔法の様な力を扱う


人を襲い、殺し、そして喰う


異形の存在、『魔獣』


人間は奴らになす術もなく、どんどんと地球から姿を消していった…










しかし、神は人類を見捨てちゃいなかった


魔獣が現れた事により大気中の成分が変化し、人にも魔獣と同じ様な力をもたらす事が分かった


そこからの人類の快進撃は凄かった


魔法を使える様になる剣、刀、銃、杖、様々な物が開発された


そして、その武器達を使いこなせる人々が集まる対魔獣の組織、対魔部隊が設立された


それから300年後

今も尚その魔獣達に立ち向かう対魔部隊は人類を護っている



これは、300年越しに運命を背負ってしまった 

少年少女が日常を創り、護る物語だ











      第1話 誰かの日常












朝7時、外はすっかり明るくなりカーテン越しに朝日が覗かせる


目覚めた俺はカーテンに手を掛け、開ける


シャアっという音と共に朝日が体を照らす


眩しいという気持ちを抑え込み、窓を開ける


そしたら深呼吸をし、


「んん〜…!」


と、俺は伸びをする


そしたら目は完全に醒めてくれる


その足でキッチンに向かい、ポットに水を淹れて沸かす


沸くまで待つ間食パンをトースターに入れて焼く


そしたら焼いてる間にお湯が沸いてくれる


そのお湯を使ってコーヒーを淹れる


「いい匂いだな〜」


少し笑みを浮かべた独り言を漏らす


「まあ、インスタントなんだけどね」


また独り言を零す


そんな事をしている間にトースターがトーストを焼けたと告げる


そしたらトーストを皿に移し、コーヒーを淹れたマグカップと一緒に持ってリビングの机に置く


テレビをつけてニュースを見る


星座占いは6位、微妙だ


10分で食事を済ませ、身支度をする


歯を磨き、制服に着替える


鏡で身なりと黒い髪を整えて荷物を持つ


玄関で靴を履き、ドアノブに手を掛ける


ガチャ、という音と共に俺は呟く


「いってきます」


これが、今の俺、エルデ アマの"日常"だ












自転車で坂道を一気に下る、風が気持ちい


15分程漕いだ後、対魔部隊の基地が見えた


見慣れたものでもあり、大好きなものでもある


その理由は…


「おはよう、アマ」


基地の中に入り、はじめにあいさつをされる


この声の主こそ、俺がこの場所が大好きな理由


「おはようございます、テシ班長」


対魔部隊 最強のA班 班長、ウォール テシ


「よせ、今は始業前だぞ?」


「そうだったな、テシ」


俺達の関係は恋人でも無いし友達でもないただの上司と部下…だと思う


何故言い切れないかと言うと、こう言う風にプライベートではタメ口で話すからだ


俺達は3年前に色々あって知り合った仲である


まあ、一旦この話は置いておいてとりあえず始業の準備に取り掛かる


まずは夜勤のやつらと交代する


対魔部隊は24時間対応する為に人は常にいる様にしなければならない


班員達が待機室にテシが入ってくるなり立ち上がり、敬礼する


「「「おはようございます!テシ班長!」」」


数十名の威勢いい声が響いた


「ああ、おはよう」


テシは淡白にそう返す


一見すると班員達に対して冷たく、失礼に感じるほど落ち着いた返し


しかし、あいさつを返された班員達はとても嬉しそうにしていた


そう、彼女はそれだけの信頼と力と実績を持っている


それこそ——


対魔部隊最強の『剣豪』、ウォール テシなのである


「副班長もおはようございます!」


今度はそんな声も聞こえてきた


ちなみにここの副班長は………俺だ


冗談でもなんでもなく本当に正真正銘俺が副班長である


「うん、みんなおはよう!」


とりあえず俺はあいさつを返し、テシと待機室のロッカーに荷物を入れる


「アマ、今日は面接の予定があったよな?」


テシは俺にそう聞く


「はい、1時間後に1人面接がありますね」


始業したのでもう敬語で話す


すると、テシは何故かジッと俺を見つめる


ただならぬ空気、まるで時間が止まったと錯覚してしまうほどの静けさ


俺は何かしてしまったのだろうか…


いや、そんなはずはない………よな?


すると沈黙を破り、テシが口を開く


「なぁアマ、いい加減活動中でも敬語はやめてくれないか」


何かと思ってヒヤヒヤしたが、またそれか…


「はぁ…テシ班長、貴方は班長なんですよ」


「そうだけど…だからって敬語は堅苦しいから嫌だ…」


「子供じゃないんですから、しっかりとA班班長として威厳ある行動を…


「あー!はいはい、わかったよ…」


また拗ねてしまった、あと多分わかってないし


仕方ない…こんな時はアレだな


俺はテシに近づき手を伸ばす


ナデナデナデナデナデナデ


「なっ…///」


テシは顔を赤らめて驚く


「ま、また撫でて誤魔化そうとして///…」


それが一番落ち着かせやすいから、というのは 内緒だ


「で、でも///もう騙されないからな!///」


あ、バレた


「じゃあ撫でるのやめようか?」


俺はバレたのなら意味がないと思いそう提案する


「ダ、ダメだ!やめないでくれ…///」


「?、まぁいいが…ナデナデナデナデナデナデ」


「えへへ…///」


何故か嬉しそうにテシは笑みを浮かべる


しかし…


「あ、あの…」


テシを撫で続けていると後ろから申し訳なさそうに誰かが呟いた

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