第3話 裸族からの卒業

いや違うのだ、聞いてほしい。


俺は断じて異世界に行って裸族になったわけでも、露出狂になったわけでもない。これには深いわけがある。


俺の称号の一つに愚者の可能性がある。これは獲得経験値量10倍という素晴らしい性能の称号なのだが、デメリットとして武器防具使用不可が付いている。


なので武器、防具を装備しても攻撃力にプラス補正は乗らず、むしろ重いだけなので転移後すぐに軽装で戦っていたのだ。

また魔族を殺す時に武器を持たないので拳一つで戦わないといけない。当然身体中の服が汚れるのであえて服を着ないと言う選択を取っていたのだ。


お分かりいただけただろうか?


そんなことを脳内で考えつつ、俺が持っているオーバーサイズの服を着ようとするが入らない。

ズボンはデニムで超ルーズに履いていたので入るものもあるのだが、トップス系が全然入らないし、入ってもピチピチなものばかりだ。


アニキから2〜3着貰うか?

アニキは柔道ずっとやっててムキムキで身長180なので今の俺の身体に合うものも持ってるだろう。


というわけでアニキの部屋にノックもせずに入る。

「邪魔すんで〜、服入らんくなったからデカい服で余ってるやつくれん?」


アニキは懸垂の真っ最中のようだ。レップが終わるまで学習机の椅子に座って大人しく待つ。


アニキは無言でクローゼットを開けて大きめのYシャツとシャツを1つずつ渡してくる。ありがと〜っと言いながら服を受け取ろうとするが力を緩めない。


「やっぱり筋肉だけじゃないな。姿勢がいつ不意打ちされても対処できるようになっている」


変なことに巻き込まれるか心配だったが大丈夫そうだなと付け加えて力を緩めて懸垂に戻った。昔からアニキはよくわからんな。



夜も更けてもう22時だ。自室に戻った俺はベットの上で元々の生活を思い出していた。交友関係をLINEや写真を参考に思い出していく。た内容等は流石に思い出せないので一時は浮くことになるだろうがしょうがないか。

そういえば魔王を倒してからステータスは割り振ったが、称号関係は確認していなかったな。幾つか増えているみたいなので確認するか


「ステータスオープン」


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名前:難波龍一

年齢:26


称号:

・持たざる者(MP0固定+ステータス制限解除)

・愚者の可能性(武器防具禁止+獲得経験値量10倍)

・異世界人(獲得経験値量2倍+ステータス割り振り)→停止中

・1人の勇者(パーティ禁止+バフデバフ状態異常無効)

・魔王討伐(全ステータス2倍+裏ボスへの挑戦権+世界192168000001への転移権)

・異世界からの救世主(転移先を望むなら元世界192168000245(hostname:earth)に変更する+転移時刻を望むなら元時刻2025050320200358に変更する)→停止中

・異世界帰り(他世界のスキル習得権+XXのXXXを最大10倍に固定する(現在の倍率:1倍))


勇者:


Lv:25,262

HP: 126,310

MP:0

攻撃力: 753,930

耐久力: 101,310

魔法攻撃力:0

魔法防御力: 101,310

速度: 753,930


スキル:

・等価交換(HPをMPにMPをHPとして使用可能)

・物理法則有効(物理攻撃無効を無効にする)

・最上位回復魔法(消費したMPの10倍のHPを回復する)

・攻撃優先権(相手の不意打ち以外は必ず初めのターンに先行になる)

・食いしばり(戦闘ごとに発動、HP0になる攻撃にHP1で1度だけ生存する、気絶判定自動成功)

・ステータス偽装(任意のステータスに偽装できる)

・範囲攻撃(円形に指定した範囲の相手全員に攻撃する、攻撃力は分散される)

・トドメばり(攻撃後に相手が気絶していない場合に固定ダメージ1を与える)

・アイテムボックス(時の流れがない特定の場所の所有権とアクセス権を永続的に待つ)

・詐欺師(疑われている場合の信用にプラス補正(現在倍率:1倍))

・大根役者(演じる場合の成功にプラス補正(現在倍率:1倍))

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そもそも称号とは、世界が自身の行動を判定して与えられるものである。デメリットのついた称号もあるので称号自体を無効化することもできるがデメリット付きの称号はメリットも大きい。例えば1人の勇者だとパーティ禁止+バフデバフ状態異常無効だがデバフ無効も、状態異常無効もスキルでは習得できないものだ。特に状態異常無効はメリットが大きく、睡眠不足、空腹、汚染された水や食料での腹下しなどの問題を起こさずに活動できる素晴らしい称号だ。


今回得た称号は3つか、魔王討伐、異世界からの救世主、異世界帰り。異世界人と異世界からの救世主は元世界に戻ったことが原因で停止状態になっているな。


魔王討伐は全ステータス2倍は正直破格の称号だ。称号の持たざる者によって俺のステータス上限は解除されているので恩恵はデカい。通常の勇者だとステータス上限の99,999に引っかかり一部無駄になってしまうだろう。

ただ他に書いてあるラスボス挑戦権とかどう考えても厄ネタだな、転移先もやばそうだ。おそらくこれが釣り合いを取るデメリットなのだろう。


異世界からの救世主は元世界に戻るための称号だな。今は停止中であるし、考えなくても良いだろう。


異世界帰りは、、なんだ?他世界のスキル習得権はまあ良い。異世界に無い詐欺師、大根役者のスキルを取得した段階で別世界のスキル習得に切り替わったことは分かっていた。だが倍率が上がっていく称号は聞いたことがない。成長する称号といったところか?しかも何の倍率かも分からない。


「うわっ、異世界人の称号が停止しているからステータス割り振れない」


とりあえず気を付けておくこととしては、転移時に転移先は気をつけておくこと、称号に変化がないかを確認することの2つだな。


もう夜も遅いしシャワーだけ浴びて早く寝よう。

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