遠い過去と遠い未来の時代は、生活の様式や常識までもが異なります。
目の前にそれが突然現れた時すんなり受け入れることは、本来そんな容易なことではありません。
この話では違う時代を生きる二人の主人公が同じ場所に集うことになりますが、最初どちらもが感じた時代のズレに戸惑いながらも、言葉を交わしながら、少しずつ心の距離を詰めて行きます。
私が惹かれたのは違う時代に生きる二人が、自分達とは異なる時代のことを軽んじたり、自分たちの方が優れている、常識であると強く思い、相手にはなから押し付けたりしない、そういう近づくにもちゃんと相手の時代への敬意や気遣いが見える描き方をされてる文章だったからです。
例えば文明が発達した世界から、それよりも文明の状況が明らかに発達していない世界に放り込まれると、自分たちの価値観の方が優れていると勘違いし、「うちの時代ではこうだ」「未来ではこんなことしない」などとすぐ未来の人間が過去の人間に修正を加えようとするような場合もあります。
この主人公にはそういう傲慢な視点がなく、自分の時代とは異なる常識を目の当たりにしても、その時代に招かれた者としてそこで暮らす人々の世界を真摯に見つめて理解しようとする姿勢があります。
それは彼女個人が持つ素質であり、美徳なのです。
そうでない人間がもし招かれていたら、別の混乱をこの場にもたらしていたかもしれません。
異なる時代と意志疎通の出来る素質を持った優しさと、探求心を持った少女。
もしかしたら彼女は導かれるべくして導かれた人なのでしょうか?
慕うべき人柄を持つ二人の主人公がこれからどんな物語を紡いでいくのか。
とても楽しみにしています。