理系女子、源氏物語に迷い込む ― 安倍晴明の召喚で始まる平安革命記 ―
吉晴
0-0 起意 ― 研究室にて
考えたことはありますか。
電気もガスもない、漆黒の闇に包まれる夜のことを。
科学という言葉さえ存在せず、病や天災は祈りと呪いでしか受け止められなかった時代のことを。
心の痛みや苦しみが現実と結びつき、“怨霊”としてしか語られなかった認知のありようを。
そんな平安時代の人々の本質は——令和の今を生きる私たちと、実はほとんど変わらないということを。
私の人生という物語の主役は、私。
けれど同時に、私は誰かの物語の脇役でもある。
だからこそ私は、どちらの人生も、ちゃんと演じきりたいと、願っています。
……でも、本当にこれは「私の物語」なのでしょうか。
もしかしたら、私をどこか高いところから見ている“誰か”が描いた物語なのかも。
かつて紫式部はこう記しました。
「日本紀などは、ただかたそばぞかし。これらにこそ、道々しく詳しきことはあらめ」
——『源氏物語』「蛍」より
この物語は、ただの異世界転移ではありません。
“私”とは何か、そして“私たち”とは何かを探る――読者であるあなたと私が、ともに歩む、ひとつの思考実験の記録なのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます