第7話 コンビニ
「わあぁぁあ!なんでぇえ!」
月が辺りを照らす中、月みたいにまん丸のヘッドライトを光らせながら両側を森に挟まれた大通りを走っている。
「ううぅ…まさかほんとに見つかんないなんて…」
なかなかいいとこ無いな〜って走らせてたら両側森になっちゃったよ〜!
どうしよう本当に…
「このまま走らせるわけにゃいかないしな…」
寝落ちしてまう!
「私は健康第一なんです!」
まったく、誰に言ってるのやら…
ただただ1人で愚痴を吐きながら道を走る。
「今は何時だろーな」
チラッとバイクのハンドルに巻いてある腕時計を見る。
「9時半…」
良い子は寝る時間だ…
「私は良い子だから寝床を見つけなければ…」
早いとこ安心できる寝床を見つけなければ…
最悪コンビニ跡でもいいから…
「って…まじか」
神様…本当にそれを出さなくても…
少し先に電気のついていないコンビニの看板が見えてきた。
「まあ…あるだけマシか…」
そんなこんなで駐車場にバイクを停め、懐中電灯を片手にドアの前に立つ。
「自動ドアを手で開けるなんて…」
毎回慣れないな、ほんと。
「お、おじゃましまーす…」
ひゃあぁ…やっぱ雰囲気が怖い…
「野良の動物は…さすがにいないか」
暗い店内を懐中電灯で照らしながら見渡す。
店内はまあ…至って普通の店内と言う感じでa
「ぎゃあああ!?」
なんだようるさいな、ナレーションしている途中だろーが。
おっといけない…ナレーションしなきゃな。
「ぺっ!ぺっ!蜘蛛の巣ぅっ!」
無人の店内はもう虫の巣窟になっていたようだ。
まあ…雨風が防げるし、もってこいなのだろう。
「うへぇ…せっかく見つけたのにぃ…」
天井を照らすと蜘蛛の巣だらけで、強烈な不快感を覚えて外に出てきた。
「これじゃあ到底寝る気になれないな…」
しょうがないと思い、懐中電灯を仕舞いバイクに跨る。
「周りが森じゃ、外で寝るのも危ないしなぁ」
エンジンをかけ、コンビニの駐車場から道路に出る。
「せっかく見つけたのになぁ…」
しょんぼりしながらバイクを走らせる。
「今日は悪い子になって、別の場所探すかぁ…」
ハンドルに巻かれた腕時計は、もう10時過ぎを指していた。
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