真面目ちゃんはまだ恋を知らない。

ニト

第1話 真面目ちゃんと一日の始まり

「おはようございます!」


朝校門の前に立ち生徒たちに挨拶をする、これが葉月香の朝の仕事となっている。

本来私は生徒会の会計を担当していて一年生は朝の挨拶に参加する必要は無いのだが先輩方と一緒に仕事がしたいとお願いをして挨拶に立たせてもらっている。


「そこの男子生徒!ピアスは校内では外して下さい!」


校則違反をしている生徒への指導も朝の業務の一つである。


「あーはいはい」


注意した男子生徒はめんどくさそうに外している。


(…始めからつけてこなければいいのに)


なぜみんな校則を破るのだろうか、どうせ注意されるし良いことなんて無いと思うんだけどな。


「次からは気を付けてくださいね」


「ちっ、うざ」


「うざくてもいいので次からは気を…あ、まだ話は終わってないですよ…全く。」


学年と名前を聞く前にスタスタと男子生徒は歩いて行ってしまった。

その様子を見ていた周りからはヒソヒソと悪口を言われているのを知っている。


(またあの子だよ…ほら、今年入学した一年の葉月)

(いつもいつもうるさいんだよね朝から)

(一年のくせにね)

(あんなんだからクラスでも孤立するのよ)


そう、私は入学して早々浮いてしまっている

元々の性格も相まって他人に厳しく自分にも厳しくしていたところ周りから嫌われてしまっている。

でも間違ったことをしているとは思わない。

だから何を言われようが大丈夫…


「おはよう真面目ちゃん、今日も朝から熱心だね〜」


突然の声と共に頭を撫でられる


「うわ!?またお前か…てか頭を撫でるな!」


「だってちょうどいい位置にあるんだから撫でたくなるでしょ〜」


勢いよく頭の上の手を振り払うとそこには笑顔でこちらを見ている男子生徒が立っていた。

その生徒の名は同じ学年の桜井鳴。


「それは小さいって言いたいのか?」


「そうだね、まじでいい位置にあるんだよね」


「それはお前がデカいからだろう!私の身長は一般的だよ!」


こいつはいつも私の事をいじってくる、何度も文句を言ったが全然聞いてくれない。


「桜井おはよー」

「桜井くんおはよう!今日も元気だね〜」

「鳴おはよー、あとで宿題見せてな」


「おう、おはよう〜」

「おはよう、まあ元気が取り柄だからね」

「おはよう、自分でやれよ!」


桜井の周りを通る人はみんな挨拶をしている

そう、桜井鳴は人気者なのだ。


毎日色んな人に挨拶されてるし、まだ入学してからそんなに経ってないのに告白されたなんて話が出るくらい男女共に人気が高い。


「…私に構ってないで早く行きなよ」


「えぇ〜折角話しかけたのに冷たいな〜」


「私は仕事中なの、邪魔だから早く教室行きなよ」


「はぁ。しょうがないから今日はこの辺で終わりにしとくか」


「いや明日からも私の近くに来なくていいから」


「…マジで冷たいな」


しょぼんとしながら昇降口に向かって歩いていく彼は何を考えてるか本当に分からない。

人の頭を毎回撫でるのも意味不明だし。


そんなやりとりを終え再び挨拶に戻る、ある程度たったあと生徒会の人に終わりでいいと告げられて挨拶をしてから自身の教室へと戻る

そうして長い一日が始まるのだ。




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