男は船で女は港

レッドハーブ

男は船で女は港

学校の放課後…。

教室で一人の生徒がなやんでいた。


「悲しい顔をして…どうしたんだい?」

「実は…恋愛経験がないことを打ち明けたらまわりからバカにされたんです!」


先生は言葉がでなかった。


「先生!僕はわからないんです!恋愛経験のない女性はバカにされることは少ないです!」

「そうだね」

「しかし恋愛経験のない男性は女性に気持ち悪がられますことが多いです」

「確かにね」

「なぜこのような意識の違いがあるのですか?」


男子生徒は納得がいかないようだ。


「昔の歌に『男は船で女は港』という歌詞がある」

「ばあちゃんが歌ってような気がします」

「入れる港が多い船は頼もしく見える」

「なるほど…!」

「逆に入れる港が少ない船は頼りなく見える」

「………!」

「それだけ交渉術に長けているということだ」

「つまり、女を口説くのがうまい…!」

「そうだ。船は港を選ぶ権利があり、港は船を受け入れるかどうかを選ぶ権利がある」


男子生徒は言葉がでなかった。


「でも女性は警戒心が強い。なかなか入港許可がおりないこともあるんだよ」

「もし、ずうっと許可を出さずにいたらどうなるんですか?」

「だれもよりつかなくなる。長期間入港した船がないのなら、その港には価値がないということだ」


男子生徒は少し納得した。


「…恋愛の理屈はわかりました。でも結婚はどういう理屈になるんですか?」

「さしずめ、アンカーロープだろうね。船と港を固定するためのロープがあるんだよ」

「先生は結婚されてましたね。いいなぁ〜」


しかし先生は虚ろな目で言った。


「でも先生はね、アンカーロープを切られてしまったよ。港を追い出されてしまったんだ。補給を受けられない状態さ…。船で例えると大海原をさまよう幽霊船だ」


男子生徒は開いた口がふさがらなかった。

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