追憶の河川敷
ヨイクロ
砂の味と蝉時雨
私の散歩道には河川敷に広がるサッカーコートがあるのだが、それを見るたびに私の童心が
私は幼いころ、此処のサッカーコートでサッカーを習っていた。年中
そのせいだろうか、今でも「本気でやってたらプロ選手になっていたのではないか」などという淡い期待を抱いてしまう。
当時のチームメイトたちは私がサッカーをやめた後もしばらくサッカーを続けていたらしいが、結局誰一人としてプロになるどころか、高校に上がる頃には別の生き方を見つけていた。てっきり、何人かはそのままサッカーを続けていて、インタビューされた時には「ああ、○○ですか?彼はいい選手ですよね、彼とは腐れ縁なので、偶に一緒に練習してますよ(笑)」などと世界に発信してるんじゃないかと妄想していた。それくらいに僕の目からは天才に見えた。
しかし、そんなチームメイトたちでさえ上にあがっていくとでくの坊以下であった。ベンチにすら入れないのだ。そんな現実を突きつけられると、「本気でやってたらプロ選手になっていたのではないか」などという幻想を私が抱くこと自体が申し訳なく思う。そう思う権利すら私にはなかったのだ。
今では連絡すら取っていない当時のチームメイトたちと取った集合写真は、日に焼かれてモノクロ写真のようになっている。それだけ月日が流れたのか、それとも私の心境を反映させているのか……まあ偶然だろうが。
さて、ここまで散々自分を下げてチームメイトを上げてきたが、私だって活躍せずに選手生命を終えたわけではない。
とあるフットサル大会にて、普段とは違う戦場の
人の運動能力が最も上がる幼いころの時期をゴールデンエイジというなら、わたしはこの一週間をこう
少し格好を付けたことを謝罪する。ちょうど今私は冒頭で話した河川敷にいるのだが、心地よい砂の味が鼻に残り、蝉時雨が耳を揺らしている。
追憶の河川敷 ヨイクロ @yoikuro
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