魏志倭人伝とイリ王朝

 さてさて、邪馬臺国について。いよっ、待ってました!

 

 魏志倭人伝には、邪馬臺国に関して次のような記述がある。

 官有伊支馬、次曰彌馬升、次曰彌馬獲支、次曰奴佳鞮。


 これ、ざっくりいうと、役人として一番偉いのが伊支馬さんで次が彌馬升さん、その次が彌馬獲支さんで最後に奴佳鞮さんという人がいますよ、という意味だとされている(らしい)。なんとなく、伊支馬さんが一番偉いのは変わらないけれど、後の三人は並列のような気がしないでもないのだけれど。

 

 私は、邪馬臺国九州説、それも大分説なので、そうでない方々には申し訳ないのだけれど、とりあえずはお付き合いいただきたい。


 まず、奴佳鞮さんについて、私の考えを聞いてほしい。

 大分には、中津という地名がある。中津市のことだ。もうお分かりだろうけれど、

 奴佳鞮=中津、ではないだろうか。中津、という地名の由来はよくわかっていなくて、いつの間にか当たり前のように登場しているらしい。現在の中津市はかなり内陸までが範囲になっているけれど、津、という文字から連想するイメージを裏切らず、ちゃんと海にも面している。『津』は記紀の時代から『津』だったから、昔からの地名として想定しても一応の理屈は通っているのではないかな、と思うのだけれどどうだろう?


 次は、奴佳鞮さん以外のお三方、伊支馬さんと彌馬升さんと彌馬獲支さんのうち、伊支馬さんと彌馬獲支さんをピックアップしたい。

 当時、どのように発音していたか、それは確かめようがないことなんだけれど、伊支馬は『いくめ』、彌馬獲支は『みまかき』と読むことができる、これに異論はないだろうと思う。

 イリ王朝の天皇の名前は、ここからきているのではないだろうか。


 イリ王朝を代表する崇神天皇の名はミマキイリヒコイニエ、 垂仁天皇 の名はイクメイリヒコイサチ。

 『みまかき』と『ミマキ』は母音の数が違うから、無理があると考える方もいらっしゃるだろう。でも、TOMATOは『トマト』で『トウメイトウ』とは書かないし、そこら辺りは許容範囲ではないだろうか。


 つまり、邪馬臺国のミマキさんとイクメさんは『入って』『ヒコ』になった、と考えられるのではないか、ということだ。

 どこに『入った』か。ヤマトに。つまり、東遷説押し。

『ヒコ』が、それなりの権力者を表すことには異論は立ちにくいと思う。


 総論。

 邪馬台国で、『ミマキ』だった一族が、大和に入って『ヒコ』を呼称とするようになった。いまの一族代表の名前は『イニエ』君。同様に『イクメ』だった一族が、大和に入って『ヒコ』を呼称とするようになった。いまの一族代表の名前は『イサチ』君。奴佳鞮さんは、邪馬臺国が現在の大分県中津市付近にあった裏付けとなってくれる存在で、つまり、邪馬臺国は東遷した。そう、私は思っている。


 ところで、いま気が付いたが、『イサチ』は、『いさちる=泣き叫ぶ』と関係があるのだろうか。感情の安定しない大王だったのかな、なんて想像してしまった。


 それなりにいろんな人の考えに触れてきたと思っているけれど、私のような考えを読んだことがない。どこかに大きな欠陥があるのだろうか。一つだけ、思い当たるとすれば、魏志倭人伝の内容を知っている政権内部の人間が、魏志倭人伝に出てきた邪馬臺国の役職名をもじって大君に充てた、その可能性。それを否定できない、ということ。実際に、その様な細工が行われていたとしたら、過去の邪馬臺国の威光を大和政権が取り入れようとした、ということになるから東遷説に揺らぎが出る。


 ぜひ、皆さんのご意見を伺いたいのです。


 蛇足。

 九州に耶馬渓という景勝地がある。渓谷で他者からの攻撃を受けにくい、山国川の上流に位置しその音から、邪馬臺国に比定されることがある。実は、私もずっとそう思っていた。中学生のころから30代後半くらい?まで。けれども、地名の由来を調べると、わりと新しい地名でショックを受けた。

 そこには絶対に邪馬臺国はなかった、なんていうことは出来ないけれど、地名を根拠にするなら、一応由来を調べた方が良いよね、と言うおはなし。


 

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