第10話「もう一人のマリ」
*
俺達の前に現れた、マリそっくりの少女、ヴァルキリーパールこと
だが、彼女は記憶喪失で、その名前も
そんな彼女の正体もだが、そもそも“
*
「というわけで、初めまして“魔法少女”、及び“魔砲少女”の皆!
私が魔法科学会“3G”の一人、
そう言って自己紹介してきたのは、油汚れの目立つ白衣を着たスレンダーな美しい女性だった。
彼女を一目見た印象としては、とても新鮮だなという感じだった。
具体的には彼女の、慎ましやかな、
「むっ?
「え!?あ、い、いやー、その、」
「ははは!黒霧兄君の周りにはとびっきりの巨乳揃いだからな!貧乳な
「ちょっと
「まぁまぁ、落ち着いて、
「
「まぁまぁ、それよりも!
いい加減、色々と説明してくれないかな、姉さん達?彼女達、“
サンゴのその一言で、
ちなみに、今俺達は変身を解除して私服姿に戻っているのだが、そうなると、余計にマリアと名乗った少女はマリそっくりだった。
見た目は勿論なのだが、そのスタイルも瓜二つだった。
こうして見ると、やはり彼女は行方不明となっているマリの双子の妹のマミなのではないかという気もしてくるし、マリのクローンなのでは…?みたいな突拍子も無い考えも浮かんできた。
そんな風に考えていると、先程までイジられていた
「では、まず“
これは、
“科学式魔法武装兵器【ヴァルキリー】システム”、通称“
この擬似魔法とは、科学技術によって魔法を再現したものなので、“非魔法師”であっても扱うことが出来るため、“非魔法師”であるユウナにも扱えたというわけだ。
また、“
例えば、ユウナの持つ“
そして、マリアの石は“
「そ、そんなシステムが開発されていたなんて…!」
「わたくし達も知りませんでしたわ…」
緑川博士の妹であるサンゴと、
「まぁ、【ヴァルキリー】システムについては、超々極秘事項として、その研究開発が進められてきたからね」
と緑川博士が言った。
「それは、何故ですか?」
俺の質問に、今度は
「失われた古代科学技術の研究という時点で、世間からの反発が起きかねなかったからです。
世間一般的には、古代科学技術は“悪”とされていますからね」
かつて、人類を滅ぼしかけた世界大戦では、核兵器を中心に、古代科学技術を使った大量の殺戮兵器が使われた。
その大戦の結果、ほとんどの古代科学技術は失われたが、二度とそのような悲劇を起こさないために、大量殺戮兵器の使用及び所持の全面的禁止が、国際法で定められた。
「国際法で禁止されているのは、大量殺戮兵器の使用及び所持、そしてそれに伴う殺戮兵器の製造や研究に関することであって、古代科学技術の研究そのものを禁止されているわけではない」
「ですが、世間的には古代科学技術
「まぁ実際、大量殺戮兵器でこそ無いけど、一つ間違えば人を殺す道具になりかねないシステムだからね、世間の人々が忌み嫌うのも無理は無いよ」
それに、元を辿れば、古代科学技術で使われていたダイナマイトなんかも、本来は人を殺す道具では無く、人の生活をより豊かにするために作られた道具だったハズなのだ。
道具や技術、知識が“悪”なのではなく、それを悪い事に使う人間の心こそが、本当の“悪”なのだ…
「ま、そんな哲学的なことを今更論じるつもりは無いよ。
ともかく、そんなわけで、私の研究は【マジョリティ】システムや【マギキュリィ】システムの裏で進めることになったわけ!」
その目的は、“非魔法師”でも職業の自由を選べるようにするため。
今の時代、魔法を上手く使える使えないに限らず、“魔法師”であれば、戦闘職や技術職への優先的な採用が行われ、その給料も“非魔法師”に比べて遥かに良い(命に関わる仕事なのだから当然と言えば当然なのだが)。
この点で、“非魔法師”の側から一部不満の声が上がっていたりもして、中には“非魔法師”が差別されている、“魔法師”達によって不当に搾取されている、などと訴える過激派も出てきたりしている。
「そこで、私は科学的なアプローチから、“非魔法師”でも魔法を扱えないか、という研究を長年続けてきたわけなのだが、これがなかなか上手くいかなくてね〜…
“非魔法師”が魔法を扱うには、古代科学技術の力だけでは
「えっ!?」
「ふ、不可能って…、でも、実際に…、」
俺達の疑問に、
「そう!そこで私の前に現れたのが、
それから、
*
時は
何故そこに行ったかの理由は特に無かったんだけど、今にして思えば、何かに呼ばれたのかもしれないね。
…なんて、科学者らしくなかったかな?
ああ、そうそう、君達には改めて言うまでも無いことかもしれないが、未開の地とは言っても、全く人が住んでいないわけではなく、
そんな、戦後の荒れ果てた未開の地を、目的も無く歩いていた私は、とある神社に辿り着いたんだ。
そこは、
そこで、私はここで巡り会ったのも何かの縁ということで、柄じゃないのは分かってたけど、神頼みをしたんだ。
“非魔法師”でも魔法を扱えるような、そんなシステムのアイディアが思い浮かびますように、ってね。
それから、神社を離れてしばらく歩いていくと、突然空が光って、何かが地面に落ちていくのが見えたんだ。
何事かと思い、私は急いでその現場に駆け付けたわけだが、そこに倒れていたのが、“
いや、しかし驚いたよ!
まさか、かの有名な古典アニメのセリフ、『空から女の子が!』ってヤツをリアルで体験することになるなんてね!
それはともかく、彼女の
恐らくは、宇宙由来の科学文明技術か、もしくはこことは別の世界、
だが、そんなことはどうでもよくて、重要なのは、この技術こそが!私の求めていた“非魔法師”でも魔法を扱えるようになるシステムだと、ピンと来たんだ!
*
博士の説明はあと少しだけ続いた。
「それから、気を失っていた彼女を介抱し、彼女が目を覚ましたところで詳しい事情を聞こうと思ったんだが、どうやら彼女は自身に関係する事柄のほとんどを忘れてしまっていたんだよ」
「はい…
私は自分が誰で、何処から来て、それまで何をしていたのか、一切思い出せなくて…
唯一覚えていたのは、“
さらに、
「彼女のその断片的な記憶と、後に判明した、彼女の身体データが、この世界の
「「「「「
俺達は揃って驚きの声をあげた。
そこで、秘密裏にマリの身体データや、遺伝子サンプルなどを入手して、マリアのものと照合したところ、完全に一致したということだった。
「ほ、本当に…?ちなみにマリアちゃん、今の身長とスリーサイズは…?」
マリがマリアにそう訪ねると、マリアは頬を染めながら、こう答えた。
「えっと…、身長は163cmで、スリーサイズは…、バストが95、ウエストが55、ヒップが82、かな…」
「嘘…、全く同じ…っ!?」
「今の時点でも全く同じデータというのは、かなり驚くべきことだが、白波君を助けた二年前の時点でも、白瀬君と全く同じ身体データだったから驚いたよ。
一卵性双生児でもここまで一致することはほぼあり得ないからね」
一卵性双生児の場合、遺伝子情報は全く同じだが、その成長具合には多少なりとも誤差は出てくる。
しかし、マリとマリアはそうした誤差も一切無かったというのだ。
「そういうわけだから、行き場の無い彼女を私達が引き取り、面倒を見ることになったわけ!
ただ、
「な、なるほど…」
「そんなことが…」
そうして、マリアの面倒を見るついでに、
未知のシステムを解析するだけでもスゴいのに、そこから新たな“
だが、
「入学式でのサプライズ発表って、じゃあ、ユウナ達も魔高に通うってことか!?」
「うん、ビックリした?」
「いや、ビックリしたっていうか…、いつからそんな話になっとったと?」
俺がユウナに尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「えっとね、話自体は去年くらいからあったんやけど…」
「去年!?」
「うん、ほら、わたし、色んな高校からスポーツ特定枠でスカウトとか来とったやろ?その中に、“
「ええっ!?ちょっ、その話初耳なんやけど!?」
「それはそうだよ、“
スカウト基準は、主に運動神経の良さだったり、頭の回転の早さだったりと様々で、まずは世間に“
ちなみに、春休み中に建設された新校舎は、新設される“
閑話休題。
「だけど、
「はい、“
「なるほど…、そういうことやったんか…」
そこで、俺はようやく聞きたかった、ユウナが何故ここにいるかの真相を知った。
そう言えば、俺が魔高に通うって聞いたユウナは、こんなことを言ってたな…
『実はね、マサトの話を聞いて、わたしも覚悟決めたけん』
『わたしもわたしの道を進むってことで!お互いに頑張ろうね!』
あれは、こういうことだったんだな…
「さて、気になる話はまだまだあるだろうが、一旦この場は解散としよう。
私達はこの後用事があるので、ここで失礼させてもらうが、君達の方は、各自自由にしてくれたまえ!
「では、失礼しますね」
「まったねー!」
そう言って、三人の博士達と“雪月花”先輩達は校舎の方へと帰っていった。
残された俺達は、とりあえず寮に戻ることにして、そこで色々と話をすることにしたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます